memo/矛盾をはらんだ
まだ自分の時間に慣れることができない。
自分のじかんとは、自分のからだのことかもしれない。
運ばれてゆくかかとをとめることはできないのにまだ恐がって連れ戻そうとする。
しかし同時にほどけたい。深呼吸をしてしまいたい。重力に任せたい。
ぎざぎざと指先にひっかかる錆、塊から徐々ににじむ夕空の雲、眠れない夜行列車、はばたく直前の翼、高架下の囲み、浸した指が川に残すゆるやかな曲線。
矛盾が弾けてばらまかれる。
破けたところからなめらかに膨らむ。
たぶんもうとどめられない。
新しい芽があおを増すように。
時が球だとしたらその内側をあますところなくつれてゆく。
素直になったからだはまだときどき後戻りをしようともする。
ぎちぎちの殻ではないわたし、をいつくしむ。
けれどまた思い出す。圧縮される。
そうだ、羽根。
飛び立つ瞬間に風切り羽根が一枚いちまいひらいて、その視線の先へからだを押し出す。
どうしてあんなに無駄がないのだろう。
どうしてあんなに完璧な軌跡を描くの?
ぎゅうぎゅうに押しこめられたからだ。
からだがビジョンを膨らまさなければならないはずが、この狭い視界はからだを萎縮させる。
歪ませる。
