はるのくま | アマヤドリ

はるのくま


朝方、窓が風に押されてたてる音で目が醒めた。
もしかして吹雪なんじゃないかと思いながらカーテンに手を掛けるとおだやかに薄く陽がさしていた。

今日は出かけるんだよ、とちゅんに話し掛けると頭をぺったんこにしてずっと緊張した様子で私の目を見ない。

空は分厚い雲がたった今割れたばかりで、隙間から光がなんだか劇的にのぞいていた。
さっきの強い風があの雲をびりびりと裂いたのかもしれない。
その声のこだま。

電車の窓ガラスは曇っていて、太陽は春の靄をとおってきたみたいなやわらかさだった。
ふと顔をあげた目には金色の髪がかかっていて、透けるひかりはわたしにおきぬけの、まだ夢から完全には足を抜いていないかおりを思い起こさせた。