月虹、双子、終わらない話
イブの日、夜遅くに帰ってきていつものように空を見上げたら月に大きなひかりのわっかがかかっていた。
思いがけぬプレゼントのように、その景色はわたしから冷たい空気も重たい荷物も一瞬のうちに奪っていった。
できることなら友達に電話をかけて、今の月を見て、と言いたかったけれど封印されたみたいにそのことに満たされて閉じ込めてしまった。
神々しくて同時にほんのりまがまがしい、なのに堂々とひろげられた秘密みたい。
あとでわかったのだけれどこれは月虹と呼ばれるもので、昼間の虹よりもずっと見られる確立が低いものなだそう。
今夜も見えるかなとあおいだけれど、火星がぽつんと見下ろしているだけだった。
***
明け方にうなされた。
はっきりと起きているのに思考が絡まって夢のような妄想がとまらないことがまれにある。
バスでの窒息もその仲間。
今日私を困らせたのは赤毛のふたごの50歳くらいの女性で、ふたりは同時に私のなかから出てゆこうとして出られず、なのに私の忠告をききやしないのだった。
守りたいひとに守るものを送り、創ってほしいひとにちいさな世界を送り、ふたごのかたわれに秘密をおくる。
どんなふうに変わってゆくのかな。
今は恐れない。
ずっとずっとつよく、やわらかになりたいと、ただ願うだけ。
