鴨川で尾行され先回りされる | アマヤドリ

鴨川で尾行され先回りされる

地図をロッカーに入れてしまったので勘でずんずん歩いた。
歩きながら、京都は碁盤の目になっていることを思い出して少し安心する。
まだ街は全然目覚めていない。どこもシャッターが閉まっていて、騒がしくしているのは鳥たちだけ。
雨がぱらぱら降っていてお堀やみずたまりに小さく波紋をつくっている。ときおり出会う、出掛けのひとは空をみて傘を持とうかもつまいかを思案している。
おねえちゃん、と声をかけられたので振り向くとおじさんが傘かしたろか?と言う。大丈夫です、ありがとうと笑うとおじさんはぴょんぴょん走っていってしまった。

鴨川に出会ったのでずうっと北へむかった。
川の方に降りて見上げたり、かもに目線をあわせたり、橋をくぐったり。
橋のしたにはかならずブルーシートでできたおうちがある。TVのアンテナがついていて選択物干しもぶらさがって、生活が整っている。
川のくらがりを見ると『IT』を思い出してしまう。闇を含んだ水は恐いのに、覗き込みたくなる。

あやしい灰色のサギのような鳥にまた出会った。目黒川でであったぺてん師みたいなあいつ。
ただまっすぐ立って、にせものの監視カメラみたいだ。
わたしが気付いてしまったことにやつも気付いたみたいで鴨川のところどころでわたしを見張っていた。
4度くらい遭遇したのだけれどそのたびにもうずっとそこにいたかのような顔をしている。
気配を隠してるつもりらしいけれどその動かなさが余計に目立っている。
なにが怪しいって、サングラスをかけていてX脚がぴんと伸びているところ。羽根をきしっと乱れなくたたんでいるところ。


本能寺まで歩こうとしたんだけどわからなくなったし足が痛いから三条でひとやすみ。

しらないまちを歩くとそこが日本でも外国みたいに感じる。
ひとりじゃなくても孤独のことを考える。
淋しくはない、ただこどくのこと。