夢/ダンサーと夕闇
ものすごくつぎはぎな夢。
お母さんとおばあちゃんと、外国のダンサーのビデオを見る。
その中のひとりの男性が私の結婚相手だということを教えてもらう。
膝のかたちがとても綺麗だと思った。
わりと有名なコレオグラファーの主催する実験的なワークショップに参加している。
すごく綺麗なダンサーばっかりだなあ、とどきどきしながら動く。
水の中にいるように自由でありながら空気を感じて動くことができる。動いてしまえば私は、どんな気持ちからもフリーでいられることがうれしい。
やがて周りのダンサーたちはよく見知ったひとばかりだったということに気づき始める。
ふと場面は変わって今度はトークショーのようなものに参加している。
その、将来のだんなさんがゲストだったので私は絶対にその場にいなければならない、と思う。
そこにも知っている女の子がたくさんいた。
将来のだんなさんは日本のひとじゃないひとみたいなので、私はせっかく今日来たのになにも話せないじゃないかと愕然とするとともに、将来外国のひとと結婚するということは私はこのあと英語がしゃべれるようになるんだ、と努力せずとももうしゃべれるようになったかのような気持ちになる。
そのひとは長身で、そんなにびっくりするようなハンサムでもなければ際立った特徴のあるひとでもなかった。
知的な感じのあたたかな色あいの目は穏やかで、少し安心する。からだ全体が長四角のパーツで構成されているようだった。けれどかくかくしているわけではなく、とても優雅な動きを持っている。
しみじみ、みつめてみる。
そこには恋愛感情に付随するどきどきとかは全くなくて、静かに見極めるような目線だけがあった。少し好奇心もあったけれど。
他の女の子は英語でばんばん質問をしている。あたりまえだけれどダンスに関する何かなんだろうな。
何故かだんだんその人は日本人になってきて、いつのまにか日本語で話をしている。
なのに相変わらず会場にいる女の子たちは英語で質問をし続ける。
ずっとまえに私のレッスンを受けていた顔のすごく小さな女の子がその会場にいて質問をしたのだけれど、どういうわけか『ベニスに死す』の最期のシーンのお化粧のような妙な白塗りをしていて、突拍子もない声を発した後会場から走り去ってしまった(実際の彼女は決してそんな振る舞いをしなそうな、とても綺麗な女の子)。
なにを質問しようか、とずっと考える。
「あなたが今まで好きだったものを教えてください」にしよう、と思う。
食べ物でとかじゃなくて、踊りに繋がるなにかで、好きだと感じるもの。
好きな色とか、好きなことばとか、好きな映像とか、好きなシチュエーションとか。
いつのまにか私と彼と何人かの質問者は電車に乗っている。
彼は向こうの席で前の質問に答えている。今も日本語で話をしている。
何が好きですか、なんてこんな質問は幼稚すぎるかもしれない、と考えながら、けれど自分のインスピレーションを信じたかった。
その質問に答えてくれる間、私やここにいるみんなが彼の好きなものをイメージしてたどっていったら素敵じゃないかなあ?
考えているうちにいつのまにか私は知らない街の川岸を歩いていた。
街がそうなのか、たまたまそういう時間だったのか、風景のすべてが絶妙なあおに包まれていた。
薄いむらさきに近い朝もやの湖のようなあおや、氷に閉じ込められたようなあお、宇宙と地球のさかいめのようなあお。
視界全体がそんなあらゆる種類のあおのグラデーションに包まれて、うつくしさに息が詰まりそうになった。
一本小さい道に入ったところに自動販売機があって小さな駄菓子やさんがあって中学生が自転車で集まっていた。
どうしてもこの角度から撮りたい、というところに野球部の大きな男の子が公衆電話をかけていて、待っているうちに奇跡のようなその街の色がだんだんに変わっていってしまった。
***
将来のことを、もう完全にドラえもんのようにわかっているところが面白かった。
結婚したいなあって考えているとか、外国のひととお付き合いしたいなあって思っているとか、そんなことでは全くなくて、きっと私は新しいせかいとの接触を予感しているし、それに向けて動き出したいと思っているのだ、と思う。
それから、私はずいぶん楽に、英語を習得したいと考えているみたいだ。
