white out
そのときわたしはちょうど眠りに就いたところで、どこか遠くを旅する夢をみていた。
あまいかおりのするひとと電車に乗ったことを覚えている。
電話の向こうからは絶えずさらさらという音が聞こえていた。
内側が湿っていて、けれど凍てつく風にお互いがはじき合う、軽いのに厚い音。
その暗やみを、もしくはその音を奪うような白さを、私は懸命に浮かべようとした。
ふたたび夢をみるのならとめどないその雪が土と樹と水とわたしに落ちてくる夢がいい、と願いながら眠った。
それはどこかでふとゆくさきを変え、ふさわしいひとのもとへ降り立った。
背中まで染まるようなあおい朝のなかで
彼女がこごえてしまいませんように、と祈る。
どうか。
彼女がほほえみかけてくれたように。
