23:28 | アマヤドリ

23:28


朝起きると背中がばりばりで、声まで出ない。
どうしちゃったんだろう?と思ったらただ高熱。
よかった。
よくないけど。

熱いのどに冷たい梨を食べようとしたら私の起床に気付いたちゅんがさっそく飛んできてひと鳴き。このごろ私の顔を久しぶりに見ると(帰宅した時と、朝目覚めたとき)かならずこんなふうに鳴く。
おはよう、何して遊んでたの?と聞くと私のことばをじっと、左目で聞いている。瞳を開いたりすぼめたりしてしきりにピントを合わせている。

梨を一緒に食べながら私は今朝の夢を反芻する。
夢のなかで体験する感情はほんものじゃないのに経験として残るから不思議だ。昔こいびとが死んだ夢を観た時はずっと泣いて、1週間くらい泣いてからタイムマシンを造る決意をしたのだった。英語を勉強してNASAに入るつもりだったところが、やっぱり夢だな。
今日のはなんの夢だったかすっかり忘れてしまった。香りのようなものまでずいぶんと薄れてひっかけどころがない。

この期に及んで熱なんか出している自分にまゆをしかめていたらそんな空気を読み取ったのかちゅんはしきりと私の気をひこうとする。
ねこと同じだ。
このこは笑い声が好きみたいで、遊んでくれることと遊びながら私が笑っていることがセットで好きらしい。
くるくる羽根を振り回す。

『断崖』を観ようとしたけれど眠気に勝てず、いつのまにかヒッピーのような女の子が加わっているところで諦めてテレビを消した。
こんなところまで金木犀のかおり。


守るように私の肘にとまっていたちゅんが遠くの声に気付いて飛んでいったとき、もしここが砂漠の真ん中であってもまた見つけてくれるだろうか、と声を見送った。