『アンリ・カルティエ・ブレッソン-瞬間の記憶』 | アマヤドリ

『アンリ・カルティエ・ブレッソン-瞬間の記憶』

写真家の才能はその場所に居合わせられるかどうかだよ。
という友達のことばを私はわかったような気がしていたけれど、まだいまひとつ、だとしたらどうしたらいいんだろう、というところに行き着いて止まっていた。

ブレッソンは、目を使って世界をみることだ、と言った。
まずはその瞬間をとらえることが重要で、物語や感情はあとからついてくる。

気持ちありきじゃないのか?と、昔の私だったら考えただろう。
でも今はなんとなくその意味がわかる。
構図や画面のバランスを狙うことと、感情から生まれたもの(という分類の仕方もとても安易だけど)、ブレッソンが言っていることはどちらも含んでいるはず。その一瞬を差すことも、なにかの高まりなのだろうから。

ブレッソンの写真はそんな一瞬の勝負みたいなカットによってかえって長い時を宿しているみたいに見える。
あの自転車はどこにいくのかな。馬車がこなかった時のこの道はどんなに静かで、どれだけ濃い靄に包まれていたんだろう。
風景すらそうだから、ひとはもっとだ。
じっと見ていると、過去にも未来にも時間は膨らんでゆく。

ポートレイトにとても興味があるのだけれど、やはり私が思ういいポートレイトにはコミュニケーションの工夫が必要みたいだ。
どんなにんげんであるかということはやはり何からも外せない。
ただ、外せないものが、きっと私は好きなんだろう。

マリリン・モンローを撮ったものがとてもきれいだった。
私はマリリン・モンローがわりと好きなのだけれども、もしかしたら一番この彼女が好きかもしれない。
視線を右にやって、何かに思いをよせている。華やかさをまとった彼女の内面にただようものに、こちらも染められそうになる。
ジェネオン エンタテインメント
アンリ・カルティエ=ブレッソン 瞬間の記憶