夜の樹
夜の樹はどうしていつもより生きている感じがするんだろう。
もしかして私のほうが、夜になるとだんだん停止してゆくからなのかな。
照明に照らされて輪郭を際立たせた樹は、私が見ているこの瞬間、ちょっと静止しているだけのように見える。
虫たちは樹の根元や、芝生の隙間で羽根を震わせているのかと思ったら、枝の先のほうからも声が聞こえてきた。
見えないからうっとりと鳴き声にひたることができるけれど、もし枝先に鈴虫がたくさんいるのを目にしたらちょっと恐いなあ、と、全然うつくしくないことを考えてしまう。
今日、夜、3日くらい出しっぱなしにしておいた植木をうちのなかに入れたらマツムシのような虫がくっついてきたらしく、大きな声で鳴いている。
電気を消すとなきやむからどこにいるのかわからない。
逃がしてあげる前に声を録音しようと携帯を近づけてムービーを撮ったのだけれど、声が録音されなかった。
どうして?
集音できる音域ではないの?
それともこのマツムシが私と父の幻だったら、怖い。
ちゅんも知らん振りしているしなあ。
***
そうだ、マグネシウムライト。
これのことかなあ?(すごく分かりにくいか、この写真じゃ…)
葉っぱの生気を急に消す、つや消しのようなひかり。
