夢/ねこをつかまえる | アマヤドリ

夢/ねこをつかまえる

なつかしいひとのゆめ。

所長に見せてもらった図面は、そのひとが描いたもの。
外構の図面なのだけれど黄色くオブジェのような石が放射状に描いてある。
この石ひとつひとつをどこかの美術大学の学生にデザインしてもらって焼いてもらって置きたいんだ、と言う。いかにも所長の考えそうなことだなと微笑ましく思う。

その机にはそのひとのカバンやノートが置いてあるのでここに戻ってくると知っている。
女の子からもらったものばかり。女の子と映ってるシールとか、女の子からの落書きとか。
相変わらずだ、とどこかがちくちくするけれど彼は幸せなのかなと心配にもなる。

そのひとが戻ってくる。
大人になったなぁと思う。
彼は私にいつもなんでもないみたいな顔をする。
私はいつも、今、の顔をする。

元気なの?と訊ねてから、いつも私はこの子に元気なの?と訊くんだなぁと思う。
そのひとは面倒臭そうに話す。
プライドの高いネコのようにすぐに逃げるから、慎重に話を進める。

話しているうちに彼のなかの問題に突き当たる。
逃がさないように慎重に話を進めていたのに、いちばん弱いところを見せられるとやっぱり私のためにはもう話すことができない。そのひとのこころに寄り添って、力になりたいと思う。

誰も本気で自分とぶつかってくれないのだ、と彼は言う。
たぶんそれを求められているとは思っていないからだよ、と私は言う。
あなたが信じていないことを知っているからかもしれないよ、と。
そのひとは随分疲れているみたいに見えた。だけどここにはとどまらないことも知っている。

連絡を断ったことの言い訳をする。
しなくていいのに、と思いながらも、しないわけにはいかないひとなのだということもわかっている。


でもきっとネコのように、いちばん苦しいときには誰からも姿を消すのだろうな、とみつめる。



消えてしまったアドレスの場所にまたアドレスが戻ってきた。
別れたあとすぐにメールが入ったのではっと見ると、別の人が私のために飛行機のチケットを取ってくれたことの連絡だった。
きみは飛ぶのが好きだから、と。