うえばかりみていた。
足元は暗やみで、冷たい水がどこまで広がっているかわからなかった。
蓋の隙間から時折さすひかりも、底にまでは届かなかったから。
淀んだ水も、ひかりを見つめながら飲めば、透明だった。
孤独は感じなかった。
自分さえ見えなかったから。
あるとき、たぶん空が真っ赤にやけたとき、彼女は水面を逆さに泳ぐ金の魚を見た。
橙に輝くその鱗はいちまいいちまいが別の場所にひかりを投げかけ、
そして夢の速さで消えてゆこうとした。
待って、
と、
彼女は全力で空に近付き、ゆっくりとそのくちもとにくちづけをする。
そうして彼女は孤独を手に入れ、
揺れる空とこころを飲み込んだ。