報せ、電話、秘密
友達の夢を見た。
どこかに遊びに行ったその余韻が残るまま、ベンチに座って買ってきたものをふたりで食べている。
私はお姉さんのようなおばあちゃんのような気持ちで友達が色々食べているのを見守る。
そうしたらその夜、友達から日本に帰るよ、との報せがあった。
おばあちゃんは3ヵ月くらい前に赤ちゃんの夢をみたという。
そうしたらおととし結婚した従兄に赤ちゃんができた報告があった。授かってから3ヵ月だそう。
こういうところが、私と祖母は似ている。
17日に祖母と母とそれから友達と能(結局能ではなく謡と仕舞だった)に行ったあと、祖母は体調を崩した。
母の兄と生活している頃は体だけはずっと元気だった祖母は、その家族とうまくいかなくなってひとり暮しをするようになってからは急に弱くなった。
ひとが好きで寂しがりやで隙さえあれば誰とでも話したがる。そんな祖母にとってひとりで暮らすことや、問題は山積みだったけれど一緒に生活をしてきた家族に去られたことが今でもしくしく心を刺しているのだろうと思う。
けれど長年住み慣れた友達たちのいる場所を離れて私たち家族と住むこともできないようで…だから母は月に一度、祖母の家に行くことにしている。私も、行けるときには。
祖母が元気になったころを見計らって母はうちに帰ってきた。
私は母が帰ったころを見計らって祖母に電話をした。
おばあちゃん、元気になった?
駅までのほんの少しを話すだけのつもりだったのに長話しになった。
近所の奥さんが私を見て、あのこにはそのうち急にびっくりするようないいひとが現われるわよ、と言ってくれたこと。(おおっ!ほんと?!期待ちゃうよ)
一緒にいった友達はずいぶん優しい子だったね、ということ。
近所のおばあさんに祖母があんまりいつもバス停でひとと話しているものだからみっともなくて近くを通りたくないわと悪口を言われてしまったこと。
夜に包まれた植え込みから道に伸びている紫陽花の葉に触れながら、うんうん、そうだったらいいなー。え、そんなのただのやっかみだよ。おばあちゃんは年のわりにしわがなくて綺麗だよ。生らくがん食べた?
と、会話をした。
私や母が帰るときはいつも少し涙ぐむ祖母。
電話を切るときだけなぜか「じゃあね、御免ください」とかしこまってしまう祖母。
おばあちゃんが大好きだ。
問題があって別れてしまったその親戚とは、もう誰も連絡がとれない。
だけど私はその従妹をmixiでみつけてしまった。
TOPの写真は祖母がひとめ見たくてしかたなく思っている初孫の写真。従妹のこどものころにそっくりな可愛い娘さんで、疑いようがない。
だけど私は、その従妹に声をかけることができずにいる。
このことは私と、風と、この日記だけの秘密だ。
…今は。
