わたしよりずっと貌を変えるものたち | アマヤドリ

わたしよりずっと貌を変えるものたち

少しとおい駅から歩いて仕事に行くことにしている。
その道添いに大きな樹が並んでいる。
わりと、無造作に。
すたすた歩いているように見せ掛けて、ほんとうは芝生のあいまからにょきにょきといろんな雑草が顔を出しているのをいちいち眺めている。
サルノコシカケみたいなのが幹についていたり。朽ちた切り株もあったり。

顔見知りになってきたからだろう、いろんな表情を見せてくれるようになった。わたしたちはどこかでお互いを確認している。
ときには無関心になり(夜は、わりとそうだ)ときに同じ風に吹かれて。

夜。
照明を浴びたみどりたちはなんともいえない存在感で視界のなかにうかびあがる。
急に生きているみたいになるなと思う。昼間よりも大人びる。
動くことが当たり前のわたしたちとはちがう、時間のかたち。
海みたい。
ずっとずっと昔から、ここにいたのだ。


芝生や樹たちの根は雨のあとどのくらいの水を吸っているのだろうか。
どんな音をさせて雫を落としているんだろう。


こんな都心にこれほど生々しいものがあるのかと、ちいさく驚かされる。
ゆっくりいろんな角度から眺めたり写真をとったりしたくなるけれど、省庁をふちどっている場所だから警備員さんがいつも目を光らせていてその勇気が出ない。