air pocket
タンスにシールを貼ったりそこらじゅうに落書きをしたりしない子供だった。冒険をしたわりにはおおきな怪我もせず、ものもねだらず。
よく図鑑を眺めていたのを覚えている。
世界中の鳥、虫、草のこと。
惑星やからだの成分のこと。
だけれど自分がどんな子供だったのか、はっきりと思い出すことができない。
なにを思っていたのかも。
毎日なにを感じて積もらせてきたのかということも。
『ブラザーズ・グリム』と『ナルニア国物語』を観た。
テリー・ギリアムじゃなくてもいいじゃないかと思ったり、ハリー・ポッターのほうが原作との関係は良いな、と思ったりした。
私の時は、どこかでとまっているのかな。
と、
シャンプーをしながら、ふと鏡をみつめた。
部屋に差し込むひかりが蒼くなってきた。
ベッドを抜けて小さな窓から外をみると、地上の灯りからうんと離れてひとつ、月がいた。
音楽を聴きながら、寝よ。
―Outro/レイ・ハラカミ