助手席 | アマヤドリ

助手席


タクシーに乗るといつも胸がきいんとする。

赤いランプが過ぎていくのを、高速道路の丸い囲いを、みどりに光るインターの看板を眺めていると、この痛みが完全に消えることはないんだろうなぁと思う。
運転手さんが黙っていてくれれば私はいくらでも飽きずにあの残像を見つけだそうとする。
夕方にはこれをかけるんだ、と言っていた私には新しすぎてついて行けなかった曲や、なじみの交差点。

こころだけがその交差点を向こうにまがっていってしまう。
和菓子屋さんをぬけ、和食レストランをまがり、新しい道路をまっすぐ走る。

もどってこい、もどってこい。

ひとりの夕方も、ひぐらしのこえも。