ダム、乾いた街
湿った赤い葉を踏み、新しい枝の割れた肌を数えて、ぬかるんでいないところを歩いてゆく。
泥にはまったっていいのだ、と気付きそれからは小枝の散る空ばかりを見て進んできた。
底に沈んでいるのはなんだろうと目を凝らすけれど空の光と水中に入りこんだひかりとの区別がうまくゆかなくて、そのものの大きさが測れない。
うんと遠い底にあるとすればとてつもなく大きい。
そんなはずはないと光るつぶを水面に手繰りよせようとするがすぐにしりぞき、たちまち街の灯のようなものに姿を変えてしまう。
そのままあの坂道をゆくことにした。
ゆるく下る坂。
水の中ではすべてが乾いている。
日のひかりはときおり割れたようにはじけながら全景を垣間見せる。
湿った匂いは朽ち木のものではなくて静かな貝や巻き上げられた泥の雲のものだ。
水のなかに指を入れてみようか、という誘惑に駆られるけれどもちろんそんなことはしない。
水鳥が水面を蹴るまでずっとそこにいた。
