みくろとまくろ | アマヤドリ

みくろとまくろ

努めなければならないのは、自分を完成することだ。試みなければならないのは、山野のあいだに、ぽつりぽつりと光っているあのともしびたちと、心を通じあうことだ。
~『人間の土地』サン・テグジュペリ




気紛れに脇道に入ってみたり、このお店は何時頃に開いてどんな様子をしているんだろうと考えながらひたすら歩いていると自分とすべてのものが通じているような気がしてくる。街のどんな些細な光も植え込みも、自分をとりまく空気も、誰もいない静けさも。その時、一番私は自然にそこに存在しているような気がする。自分のことが一番わかるのが、こうしてあてもなく歩いているときのような気がする。

友達のそのことばが、私が踊ることに感じていることまさにそれ自体だったような気がした。
だから歩いてみた。歩いてみたくなった。

目的を持って歩いているときには感じないことがただの散歩にはたくさんあって、私が見たことのない道はたくさんあるんだなと思う。同じ道をあるいてもその日の私の気持ちによってそれはいろんな顔をみせてくれる。
私のなかの小さな細胞が宇宙に似ているように、私が日々感じるちいさなパーツは生きているなかの大きな真実とおなじなのかもしれない。
膨らんだりちぢんだりしてちゃんとそこにある、そのことに、もっと気付きたい。


散歩のあとにこの本を読んだら不思議なことに頭にすらすら入ってくる。
その都度イメージして噛み砕くことを心がけないと何度もページを行きつ戻りつしてしまっていたのに。
いまはとてもふんわりと。
鮮やかに。

毎日積もることをこうして大切に思えるように、やっとなれた。