三角関係
いつもどんなに気を引こうと手を振ったり口笛を鳴らしたりしてもつんと振り向かない猫がいる。
ベランダの柵の一番すみっこにはんこみたいな足を置き首筋をうんと伸ばして私を通り越したどこかや私のいないすすきのむこうのすずめたちをみてる。
猫は口元に意志があってほんの少し微笑むようにぴったり閉じてる。そんな口元が下から見上げる私には小さな決意の錠みたいにみえる。
その子が今日はメズラシク甘えた声をあげた。
今にも降りていきそうに真直ぐ見つめる先には花に水をあげるお母さん。
振り仰がず熱心にじょうろを傾けるお母さんの気を引こうと細く呼び掛け る。
まるで私がいつもやるみたいに。
そんな光景を、葉だけの紫陽花が今日もみていた。