トキ、砂丘 | アマヤドリ

トキ、砂丘

ずっと会いたかった人が夢に出てきた。

いつも夢に出てくるときは現在の時間。昔の、いつでも会えたときの記憶じゃなくて。

相変わらずのらりくらり私のことばを躱す。だけどちゃんと甘えることも忘れない。
だから私は、鈍いずきずきを抱えたまま。

懐かしい感情に、私の意識も昔に戻る。進展の望めないレベルに。このひとの前だと私はこんなふうになってしまうんだった、と思い出す。

懐かしさや、残像や、諦めや、意地や、見栄や…全部がないまぜになって激しくこころに重力をかける。
だけど一番の望みを、いちばん叶えられそうなそのことを、私は選ぶ。

破りそうになるが今回はとどめることができた。


ときが、こうしてくれたんだと思う。
そして、ときの堆積したそのうえを歩くことは、砂丘で風に吹かれていることにひとしい。

友達の言ったことはほんとうだった。

私はとても長いこと、あのときのなかに置き去りにしたもののことを感じ続けている。