ケバブの国、逆行
渋谷にあるトルコ料理屋さんに行ってきた。
トルコと言えばケバブとのびるアイスとトルココーヒーくらいしか知らなかったのだけれど、…やっぱり食べに行ってもそんなにトルコ料理を分かったわけではなかった。塩味のヨーグルトドリンクが新鮮でおいしかった。
ドイツにいた時に食べたケバブが懐かしい。
と言ってもたしか、3回しか食べていないけれど。
イーストサイドギャラリーを見ながら食べたよね。
ケバブを食べながら写真を撮るのは結構大変だった。
夜通し遊んだあとに食べた。その日は電車乗越しDayだったらしく逆の方向に行っちゃったり、パンコウ地区の奥地まで行ってしまったりした。
それから、ベルリンのずいぶん南の方から一人で電車に乗って帰ってきたとき。
いつもとは違う細長いケバブにした。お店のお兄さんが親切で、荷物で手が塞がってる私のカバンの中にちゃんと飲み物を入れてくれたな。
何本かやりすごしてやっとこれだ!と思った電車に乗り、ひとりもりもり食べた。
近くに酔っ払いのおじさんがいて(真っ昼間)面白いことを話していたみたいで他の乗客がくすくす笑っていた。
私はちゃんとおうちに辿り着けるかずっとどきどきしていて、あたたかなのんびりした丸い日差しに包まれているのに、それを楽しむどころじゃなかったなぁ。しきりに路線図をポケットからひっぱりだして駅名を照らし合わせていた。
懐かしい。
今日食べたケバブはあの時の安い、しょっぱい味じゃなかった。
ヨーグルトに包まれたまあるい味。
あのときの日差しのことをよく覚えている。
自分の睫毛が金色に透けて、すすきを思い出した。
もう冬が終わりかけていて、だけどまだとても静かな太陽だった。
電車の中のひとはそれぞれに本を読んだり向かいの人と静かに話したり(酔っ払ってるおじさん以外は)流れる風景をただ瞳にうつしていたり、ほおづえをついて目の前の空気を眺めたりしていた。
みんなの髪や頬や首筋は、目覚めたばかりのそのあたたかい光を少しでも長い時間受けたがっているかのように見えた。
金の、橙色の光。
心ははやっていたのにあの場面だけは静かに時を止めて、
いつでも動きだしそうなほどちかくに、ある。
