浅瀬をたゆたう
ひともそうだけれど、それに伴ってひろがる感覚との出会い。
海を泳いでいたら新しい川の水の味がして、その高い山から流れてきた冷えた水に身を任せる。
冬眠中のももんがを包み、雪割草におしのけられ、作ったばかりのありんこたちの住居をぎりぎりすり抜け、岩の間の苔を染みとおり、月を映し夕日にあたためられた水。
私はそれほどに鋭くないから、そこに含まれるその全部を詳細に分析する事がまだできない。
甘い水を味わって、ただ、その旅のみちゆきを想像してみるだけ。
まるで私がその流れに乗って一緒に旅をしたように。
本当はそこにあることを的確にとらえたいんだけれどな。
かおりや、味や、痕跡から。仔細に気づきたいんだけれど。
それを全部ぶくぶく、ってしてみてぼんやりと全体のあたたかみや、そこをめぐる感覚を感じる事しか出来ない。
そしてそこから、目を閉じて想像してみるしか。
そうしていたらまたいちだん冷たい水を、私の胸鰭がたたいた。
深みに、私以外にも泳いでいる大きなさかなをみた。
