京都・大阪/みどりの庭
昔はずっと、この種類のものたちはしっとりぬるぬるしているんだと思っていた。
だけど触ると案外乾いていることを知った。大人になってからかもしれない。
乾いてもふもふしてる。
しゃがんで見つめるとすごくちっちゃい、南国の植物群みたいだ。やしの木とか、棕櫚の木がところどころに生えている。
前にも書いたけどアフリカの草原のジオラマみたい。
陽がさして雲の影が流れる。大地の大地のくぼみ。
錯覚する。
本当に水牛やキリンが走ってきそう。
私がこの光景に釘付けになっているといつの間にかフランスの男の人が隣に来て、やはりこの小さな草原に目を奪われていた。
この苔の庭は多分自然にできたものではない。野放しになっているように見えてこれはちゃんと管理され作られている。日本庭園と同じ。
それをこの外国から来た人も感じるのかな。日本人じゃないとこの微妙さはばれにくいかもしれない。
日本にはすごいものがあるな、と思っているのかな。ちょっと嬉しくなる。自分が育ててるわけでもないのにね。
葉っぱを通して落ちてくる太陽のひかりはなんていいにおいがするんだろう。
柔らかく瞳の奥に当たりころころと音をたてる。
このお庭を見ながら湯豆腐が食べられるのだ。
低い丸いテーブルでお豆腐を待っている時間も楽しい。
レイジースーザンみたいにテーブルをまわしちゃう私。行儀が悪い私を柔らかにつつんでくれる、優しい空気。
(…と、勝手に許されてる気になる)
湯豆腐は思ったより多くて驚く。
食べきれるか心配になったけれどちゃんと、すっと食べられた。1丁くらいあったのに。
庭の鯉がばしゃばしゃ暴れていた。
お店の方が「今日は鯉が暴れてますね」と話しかけてくれた。
どうしたのかな。
ししおどし。
中央にある池には蓮の花。
はすは、実の部分が蜂の巣みたいな形だからはちのすがなまってはすになったんだ、と通りがかりのおじさんが教えてくれた。
その実のことをレイシというんだよ、と。
本当かな。
どうやら日本の方じゃなかったようだった。
レイシって中国の漢方薬になるなにかみたいな名前だけど。
失礼しました、と去っていったそのひとは不思議な瞳の色をしていた。
どうして一緒にいると色んな人に話しかけられるの?
と友達が驚く。
え、と私も驚く。だってこんなこと私にとっては普通のことだったから。
私はとりわけ人に話しかけられやすいらしい。







