片翼の蝶/カノン | アマヤドリ

片翼の蝶/カノン

今日は満月だったのかなぁ?
綺麗なおつきさまはずっと私を追い掛けていた。
この暗い空をどこかに渡ってゆく鳥。迷子じゃあないよね?帰りつける、風をよけるおうちはあるよね?


死のことを考えた。
自分が死を望む、というようなことではなくただ漠然と死のことを。

あのおつきさまみたいに、いつも私の左のほっぺから目を離さずにいるんでしょう?ずっとひたと、時にはくすぐったいような魅力的な音を掻き鳴らしながら。
たぶんそんなに欲望を撒き散らしたりはせず、ただそこに。

一緒にうまれてきた私を、きっとずっと見守ってきたのね。
静かに。
息をすることもなく、もしかしたら私がこうして見つめなければ存在することすらないかのように思わせて。

ずっと私の隣にいて、
あなたは何を見るんだろう。
冷たい指を私の首にひたす時、あなたは何を思い出すの?


月からは絶えずハミングに似たうたが流れていて、だから私はしょっちゅうその音楽に気付き振り仰いでしまう。

ふと氷のようなすべらかな指が私の顎をとらえ、融けて、音で満たし、増殖する。


あたしを待ってるのは
繰り返すこの旋律