『暗いところで待ち合わせ』乙一
著者: 乙一タイトル: 暗いところで待ち合わせ
目の見えないミチルの部屋へ殺人の容疑で追われ大石が身を潜める。
お互い、存在に気付かれないように、気付いていることに気付かれないようにという探りあいの奇妙な共同生活を続けていくうちに二人は自分の人生について考えてゆく。
これも友人の勧めで知った作家。ちょっと変わった作風だと聞いていたが読みにくいことはまったくなかった。
繊細な心理描写や救いの光がその心理を照らすところなど、どんどん読む手が早くなってしまった。
世間とは無関係に、たった一人で生きてゆこう、一人なら孤独じゃないから。
そう思うことは誰しもあるのかもしれない。私などちょっと寂しかったり心が暗かったりすると一人部屋にたたずみこのままゆっくり崩壊してゆくのだろうかと気持ちが弱くなることもある。
そんな主人公二人の恐れや痛みはいつの間にか自分に重ね合わせられていた。
しかし、その薄闇の向こうには本人たちにも気付かないくらいの切望が燃えている。目が眩んでいる本人たちには気付かないような、繊細で押し隠された輝き。それは脆いみたいに見えるけれど、すごく崇高な精神に守られてる。
その輝きが触れ合い二人を温めてゆく過程が本当に救われるような気持ちだった。
独特な世界観を持った作家なのかもしれない。
他書も読んでみたくなった。
【追記】
すがすがしい作品と重たい作品を書き分けることで“白の乙一”“黒の乙一”と呼び分けられているらしい。あとがきが面白いことでも有名らしいので、後で読んでみよう。
TRACKBACK
▼にいなさん の言う通り、本当に“優しい物語”。文章も優しい。
友人は“黒の乙一”しか読んだことがないらしく、どろどろしていて怖かったといっていた。そちらも是非読みたい。
▼maさん にもトラックバックさせていただきました。
▼こちらのブログ によると、映画化のお話もあるとのこと。ミチルは誰がやるんだろう…。