長い道程 | アマヤドリ

長い道程

何で踊ってるんだろう。

そんな疑問に答えなどいらない。
わかっているがふと考えてみたくなることもある。


何に向かっているんだろう。
どこにも終点などない。求めているその眩しい場所に必死で駈けていくと辿り着いた瞬間にそこがスタートになる。また無限に道が拓ける。
その繰り返し。

いつも私がいるのは麓にすぎない。
私のなかに降り積もった色々は、すでに私のなかに飲み込まれ意識することがない。振り払ってきてしまったのではないかと恐ろしくなる程。

山なら頂上に向かって道は狭くなりやがて一点になるけれどこの道は逆だ。登ればのぼるほど広がってゆく。
登っているのか、そもそも登ることが正しいのかすら分からなくなることもある。
目を、耳を塞がれたまま進まなければならないことも。

わかっているのは進みたいという気持ちだけ。



終わらないものが好きだ。
気に入った物語ほど終わりに近づくと読み終えたくなくて距離をおく。
ゲームも終わりが見えるとスローペースになり結局エンディングは迎えられない。


永遠に続くものが好きだ。
終わらず積もってゆくことが好きだ。

一生使いきれないくらいのノートがあったらそれを落書きで少しずつ埋めていきたい。

少しずつ降り積もる雨後の雪のように。


変わってゆくこと。
体のひとつひとつが動きを覚え、知らなかった場所を感じられること。
体のその先の空気まで自分の手足になる。
ひりひり暴れだすその感覚を冷静に制御する。時には解放する。
手が付けられない程の暴れ馬は私を壊す寸前に手綱を挽かれて戻ってくる。
新しい境地をつれて。
ランナーズ・ハイみたい。


助けてくれる音と、光と、溢れる気持ち。
私自身がそれになる。

溢れて全部こぼれてもいい。空気に溶かして、届けたい。
この腕のなかに指が溶けて入ってしまいたい。
客席の最後列にこの気持ちが届くなら息ができなくても構わない。
燃えてしまいたい。

透明でいたい。

静かに呼吸を整えてバーを握ってる私をはるか彼方から眺める。
眉間で見るみたいに。
まっててね、となだめる。
また、解放してあげる。



裸足でリノリウムに立ちその遠い無限の空を見上げるとき、私はその瞬間が永遠だから好きなのかもしれないと思う。