通し狂言義経千本桜(Aプロ)

二段目

 

 

 

伏見稲荷鳥居前の場

ふしみいなりとりいまえ

渡海屋の場

とかいや

大物浦の場

だいもつのうら

 

竹田出雲、三好松洛、並木千柳の合作による作品で275年前の1747年11月人形浄瑠璃として大阪で初演されたとのこと。 この3人組は、義経千本桜の他に、仮名手本忠臣蔵と菅原伝授手習鑑を作っている。すごい人達だ。 義経千本桜は、義経が主役ではなく、実は平知盛、いがみの権太、佐藤忠信という三人がそれぞれ主役となる三つの異なる物語をつなげて構成されている。 義経はこの異なる三つの物語を結びつける存在で、その意味でやはり義経千本桜の主人公は義経だと感じるためには、通しで見なければ理解できない部分があると思う。歌舞伎でも、人形浄瑠璃でも、この三つの物語はそれぞれ独立の物語として上演されることの方が圧倒的に多い。 今回これが、通し狂言として上演されることはとても楽しみであった。 そして、菊之助が知盛、権太、忠信の三役を一人で演じる。 

 

伏見稲荷鳥居前で、忠信実は源九郎狐として菊之助登場、米吉が静御前、義経を錦之助が演じる。 彦三郎が弁慶。 渡海屋の場、銀平実は平知盛が菊之助で、女房お柳実は典侍の局を梅枝、娘お安実は安徳天皇は丑之助。 それぞれ上手く演じ分けていた。 大物浦の場は、菊之助の知盛とその家来達が義経に裏をかかれ全滅、深傷を負い一人残った知盛が義経に安徳天皇を託して、碇のロープを体に巻きつけ、その重みで仰向けに本当に引きずり込まれるように海に落ちてゆく。 これは、2022年2月に歌舞伎座で、一世一代にて相勤め申し候との片岡仁左衛門の銀平と知盛の演技が強く印象に残っていて、どうしても比較してしまうが、菊之助の銀平と知盛もバッチリ決まっていた。 

 

Bプロの3段目のいがみの権太 Cプロの4段目の源九郎狐を見るのが楽しみだ。