第三部 

有吉佐和子作

ふるあめりかに袖はぬらさじ

 

片岡仁左衛門が帯状疱疹のため休演。 これ私も去年かかったが痛いこと痛いこと大変な目にあった。 仁左衛門さん早く良くなってくださいね。 元々は仁左衛門の与三郎と玉三郎のお富で与話情浮名横櫛を上演予定だったが、有吉佐和子作の「ふるあめりか・・」になった。 

 

悲しい切ない物語だが、玉三郎のお園は本当素晴らしかった、他の役者ができる役じゃ無いような気がした。 江戸末期、横濱のインバウンド相手の廓、岩亀楼での通訳の藤吉と遊女亀遊のはかない恋を見守るお園。 岩亀楼の主人の鴈治郎とても良かった。 福之助の藤吉が玉三郎に呼応するかのように好演していた。 遊女亀遊を演じた新派の女方河合雪之丞も綺麗だった。 歌舞伎の女方にはこういう感じの人はいない。「露をだにいとふ大和の女郎花ふるあめりかに袖はぬらさじ」これが尊王攘夷の歌。 暗く、哀しく、救いのない世界だが、ラストシーンは、心に残るものがあった。 ホッとして、外に出ると、雨が降っていた。 天気までふるあめりかにふさわしい。