コロナのせいなのか、歌舞伎が地味になった。黙って見るだけが歌舞伎ではなかったはず。チケット発売日にドキドキしながら予約を入れる。観劇の前の日は早く寝る。歌舞伎用のバッグに双眼鏡やチケットを入れて、自分なりの定番の服を着て出かける。当日は三越の地下で弁当を買う。歌舞伎稲荷に参拝して木挽町広場でぶらぶらする。そういうことの全てが歌舞伎なのだが。 團菊祭というにはあまりにもお祭り感が無さすぎる。

 

 

 

一、 市原野のだんまり

(いちはらののだんまり)

 

梅玉と莟玉、隼人の舞踊劇。 秋の野、ススキに満月、平井保昌(梅玉)の笛、幻想的な舞台。 月が隠れると暗くなりだんまり。 それにしてもわずか15分。 なんなのかこれ。 終わって30分の休憩。

 

 

 

二、弁天娘女男白浪

(べんてんむすめめおのしらなみ)

浜松屋見世先の場

稲瀬川勢揃いの場

 

弁天小僧菊之助(尾上右近)、南郷力丸(巳之助)、忠信利平(隼人)、赤星十三郎(米吉)、日本駄右衛門(彦三郎)。松也はいなかったが、浅草歌舞伎のメンバーの若い白浪五人男だ。 河竹黙阿弥の名台詞、「しらざあ言って聞かせやしょう・・・」「問われて名乗るもおこがましいが・・・」が楽しみの舞台だ。右近の弁天小僧はきれいでよかったが、まだまだこなれていない、ぎこちない演技であった。七五調の耳に心地よいせりふ回しは残念ながら聞こえなかった。 みなさんやっとつまらずに発声するだけで精一杯の様子だった。勢揃いも思い切りカッコ良く決めて欲しかったが、あんまり決まってなかった。これ本当にむづかしいね。

 

ところで、浜松屋見世先の場で弁天小僧が開き直っている時、地震があった、3階席の前の方にいたが一瞬揺れた、ガーとでかいのが来るかと身構えたが何事もなくおさまった。心底恐ろしかった。