モーセで有名なエピソードは
「紅海を分ける」ともう一つ「十戒」があります。

ここまでくると、大河ドラマ2本ぐらい書けそうです。

モーセはエジプトを出て2か月後、シナイ半島の最高峰、岩山のシナイ山に登るよう神から指示を受けます。

そこで神の民イスラエルが守るべき、十の戒律を石の書き板でモーセに授けます。
ここですべては書きませんが、偶像を使って崇拝しないこと、浮気や不倫はしないこと、偽証しないこと、
日曜日(安息日)は休んでじっくりと神様のことを考える時間を取ること、などです。

他にも600ほどの細かい戒律が定められ、その中には排泄物は砂で覆うこと、生理中はセックスしない
こと等、現代医学では当然のことを守り、彼らは衛生面で健康に過ごすことができました。

冷凍技術がないので生魚を食べないことやイカやタコ、ウナギなども禁忌とされました。
魚好きな日本人にはなかなか窮屈な感じがしますね。

豚肉も同様です。雑菌が多いので加熱が不十分だと命に関わります。

特に動物は血抜きが鉄則とされました。血は神聖なもので地面に注ぎ出せ、と何度も厳命しています。

約束の地に入ったと想定し、他にも動物保護法や利息の帳消し、格差の固定解消や業務上過失致死傷の扱い
についてなどなど。民法から刑法までほぼ網羅。

彼らはそれを守ります、と誓います。それに従わなかった時の罰も受けると宣言します。

さて、食糧がマナの日々は続きます。

自分たちが耕すわけでもなく、拾ったマナで生きているだけで感謝すべきところ、
それに飽きて来て、今度は「肉が食べたい」と言い出します。

怒った神は、その時期に渡りをしているウズラの群れをイスラエル人のキャンプに舞い降りるようにされ、
民は我を忘れてウズラを食べます。
焼き鳥にしたのかソテーにしたのか分かりませんが、無心で食べている民を神は次々討たれます。
なお、聖書には「荒野をさまよう間は服は擦り切れなかった」とありますが、エジプトでは色々な
オシャレな服などあったかもしれず、その点も不満を感じたかもしれません。記述にはありませんが。

モーセのストレスは限界まで来ていました。
再び、移動した先で水問題が起きます。

不平を言う民に、温厚なモーセは遂に「私が水を出すのか!」と怒って岩を杖で打ちます。
すると、水は出てきました。

しかし、その後モーセは神に呼び出され、
「あなたは水を出す奇跡を、自分の力でやると言って神の力とは言わなかった。なので約束の地には入れない」と。
モーセにとってはガガーン、取り返しのつかない発言を撤回しようとするも、神は許しません。

約束の地を目の前にしてモーセの絶望感は計り知れません。

モーセは後継者を立てることにします。

イスラエル国民のほとんどは武器を持っていませんでしたが、それでもシナイの荒野で行く手を妨害・攻撃する
民族がいて、戦う場面がありました。その中で選ばれたのが勇敢な戦士ヨシュアです。

次回はヨシュアがキーマンになります。

上記の記述からキリスト教徒は、当時の戒律が先進的なもので聖書が信頼できる神からのものであること、
性の道徳を守ることで心身ともに健康でいられること、戒律の背後にある「原則・精神」を守ることで幸福でいられること、
ストレスがかかってもモーセのように取り返しのつかない感情的な物言いは厳に慎むこと、ブチ切れても物事の解決には
ならないこと、などを教訓として学びます。

なお、モーセは現在のヨルダン・イスラエル国境にあるネボ山、という場所で息絶え、そこに埋葬されます。
エジプトを出て約40年、ネボ山から見下ろすヨルダン川沿いの緑を最期に目にして、どんな思いだったのでしょう。
胸が痛くなります。

加えて、モーセの能力は筆記能力です。
創世記・出エジプト・レビ記・民数記・申命記を「モーセ五書」
ほかに同じ時代を生きた「ヨブ記」を書いています。
旧約聖書の最重要な部分を神は彼に書かせたようです。最後までお読みいただきありがとうございます。

 

十戒を授かったとされるシナイ山。草木一本も生えない峻険な山です。

 

 

モーセが埋葬されたネボ山。現在のヨルダン・イスラエル国境に位置します。