実は最近、分水嶺(または分水界)について考えることが多いのです。

 

日本列島の中央分水嶺については、太平洋側と日本海側を分ける分水界を連ねたラインといっていいと思います。

 

ただし、瀬戸内海は太平洋側とすることは一致した見解のようですが、東シナ海を太平洋側とするか日本海側とするか、また北海道においてはオホーツク海をに日本海側とするか太平洋側とするかでで意見が分かれているようです。

 

本州で見ると北の主脈を津軽半島とするか下北半島とするか?同様九州では主脈を薩摩半島ととるか、大隅半島ととるかで意見の一致を見ていないようです。

 

北海道は特殊で、大きく分けて太平洋斜面日本海斜面それにオホーツク海斜面の3つに分かれますが、日本山岳会はオホーツク海を太平洋斜面とみて、北端を宗谷岬としています。しかしオホーツク海は日本海斜面とすべきとの意見もあります。また、根室海峡はオホーツク海に属するのか太平洋に属するのかで境界を知床半島に置くのか根室半島とするかのに分かれます。襟裳岬宗谷岬をを結ぶ背で東西に分けるという北海道独自の中央分水嶺も存在します。

 

細かいところにこだわらず、人れぞれに意見があってよいと思います。私はおおざっはに九州佐多岬・関門海峡・竜飛崎・知床岬を日本の中央分水嶺とおもっています。

 

ちなみにいくつかの関連書籍を挙げてみます。

 

1.日本山岳会が2005年に行った創立100周年事業で中央分水嶺踏破を敢行し調査報告書を「発行しています。それでは、南端を佐多岬、北端を宗谷岬と定義しています。

日本山岳会北海道支部(2006年)

日本山岳会が定義する中央分水嶺

 

2.それより前に、2000年発行の堀 公俊著『日本の分水嶺』(山と渓谷社)も同様ですが、支脈についても触れています。

また、本州の北の主脈を津軽半島、九州の主脈の先端を大隅半島においています。日本山岳会定義は本書に準じたのかもしれません。

『日本の分水嶺』(堀 公俊、2000年、山と渓谷社)

同書内の図 北海道の主脈を白神岬・宗谷岬に置いている

 

3.2003年発行の『分水嶺ひとりある記』(福田 忠、風涛社)という本があります。この書には中央分水嶺の定義は見られませんし、本州の一部を歩いた記録にすぎません。

『分水嶺ひとりある記』(福田 忠、2003年、風涛社)

 

4.『中央分水嶺を旅する』という2022年発行の本があります。

これは参考中心で分水嶺については重きを置いていませんし、脱線も多く分水嶺(界ファンにとってはあまり面白い本ではありません。中央分水嶺の定義は日本山岳会のものを採用しています。

『中央分水嶺を旅する』(栗田佐多男、2022年、世界文化社)

 

5.『分水嶺の謎』(高橋雅紀、2023年、技術評論社)というものもあります。しかし、この本は中央分水嶺の中国地方の部分を述べているにすぎませんが、かなりマニアックなものとなっています。

『分水嶺の謎』(高橋雅紀、2023年、技術評論社)

 

6.『北の分水嶺を歩く』(工藤英一、1994年、山と渓谷社)は北海道を東西に分ける襟裳岬から宗谷岬までを冬季縦走した貴重な記録です。確かに北海道の脊梁山脈はその通りですが、水系からすれば日高山脈はすべて太平洋水系にあたります。北海道一島に限れば中央分水嶺都定義できなくもありませんが・・・・・・・

『北の分水嶺を歩く』(工藤英一、1994年、山と渓谷社)

 

7.ところが、日本一低い中央分水嶺があることを自認する兵庫県丹波市氷上町石生(いそう)の説明蟠を見ると、本州北端部の中央分水嶺先端はなんと下北半島の大間岬に置かれています。そうであるなら日本一低い中央分水嶺はここ石生ではなくむつ市の田名部北方にあることを自ら示していることになります。

兵庫県丹波市石生にある日本一低い中央分水嶺の説明板

 

細かいことを行ったらキリがないのですが、日本山岳会の定義では東シナ海は日本海側としながら、オホーツク海は太平洋側としています。

いずれの海も地理学的にはアジア大陸の沿海というものなのに所属が異なるという矛盾を感じます。東シナ海・日本海・オホーツク海は連続する沿海であることから東シナ海を日本海側とするなら、オホーツク海も日本海側にしなければ辻褄が合わないのではないかと思うのですがいかがでしょうか?

それに、ゆるやかな宗谷丘陵より、標高の高い火山が連なる知床半島の方が分水嶺らしくありませんか?

まあ定義はいくつあってもよいとは思いますが・・・・

 

 

なぜ、長々と中央分水嶺について書いてきたかというとこれから日本の中央分水界についていろいろと調べて行きたいと思っているからです。