名称:日勝峠(にっしょうとうげ)
標高:1020m(トンネル)、1108m(地平)
所属:国道274号線
位置:沙流郡日高町・上川郡清水町
5月26日、国道274号線の日勝峠に久々に行ってきました。
3世代の日勝峠が見られます
現在の日勝峠は1991年に開通した新日勝トンネルで延長は722m、日高口(B)の標高は1020mです。
1991年開通の現トンネル(C)
その左脇、上地図でCの位置1970年に開通した旧日勝トンネルがかすかにみられます。以前(20年近く前)に見たときにはほぼ全容があらわれていたのですが、今は盛土にほぼ埋まり、銘板も取られかろうじてその存在がわかる程度となっています。
1974年に私が通ったときはこのトンネルをを終えたことになりますし、釧路時代に札幌へ行くときに通ったのもこちらの方でした。
さて、日勝トンネル手前の道を登ってゆくと、日勝峠展望台(A)に至ります。ここが本来の日勝峠でトンネル開通前の踏査時には、この位置で越えて日高川に到達し、この位置で越えるか?それともトンネルを掘るか?を検討したのではないかと思います。
北海道の脊梁山脈の暗部だけあって、非常に風が強く帽子が吹き飛ばされました。
本当の日勝峠(A)半端なく風が強かった
展望台より十勝側を望む
新日勝トンネルのところまで戻ると、三代の日勝峠を見ることができます。
左から旧日勝トンネル(工事車両の奥,B)日勝峠(鞍部A)新日勝トンネル(C)
十勝側に抜けるとすぐ、日勝大橋手前左側(D地点)に旧トンネル十勝口がほぼ盛土と草に埋もれた形で見られます。
D地点
旧日勝トンネル十勝側口
ここは十勝平原の絶好のビューポイント
日勝峠、北海道の国道の峠の中では国道275号線の三国峠、国道39号線の石北峠に次ぐ第3位の標高を誇る峠です。
かつては道央と道南を結ぶメインルートとしてよく使われていました。しかし、真冬に1000mを越える峠道を走るの大変でした。何しろ流通の大動脈として大型トラックがビュンビュン走っていたのです。それも、2009年に道東自動車道が開通してからはやや影が薄くなりました。
この峠は、日高側から見れば、沙流川の源流に当たる位置にあります。
この沙流川沿いのいルートがアイヌ時代に使われた峠越えルートかどうかははっきりしていないようです。本格的に調査が開始されたのは戦後でと遅く、道道として日高・十勝双方から建設がはじまり、旧日勝トンネルが開通したのは昭和40(1965)年と比較的新しい時代です。沙流川の源流部の人跡未踏の原生林に道を開くことは大変な苦労が伴ったものと思われます。
私は1974年にこのルートを、当時は国鉄富内線(現廃線)の終点・日高町駅から帯広までの国鉄バスに乗って通ったことがありますが(そのバス路線は今はありません)、日高町から清水町までの区間のほとんどが未舗装で、バスはもうもうと土煙をあげながら走っていた記憶があります。今はもちろん完全舗装の立派なハイウェイです。
1965年以前にも調査等で沙流川流域からの最鞍部であるこのルートを歩いて越えたケースはあったようです。