函館本線・小沢駅(こざわえき)も然別駅同様に時が止まったような古風な駅です。
開設は明治37年(1904年)、旧北海道鉄道の駅として開業しました。
かつて、この駅は急行列車も停車する山線の主要駅でした。というのもこの駅から北海道日本海側有数の港・岩内に至る岩内線が分岐していたからです。とりわけ、ニシン漁が盛んだったころは、小沢駅には乗り換えて岩内に向かうヤン衆たちであふれていたそうです。そのため当時は駅弁も売られていました(1970年代まで売られていた様)。
以前には札幌から岩内に向かう急行(準急){らいでん}がこの駅で倶知安方面の列車と分割併合が行われていました。
現小沢駅駅舎(2019年)
旧駅舎(いつごろのものだろう?)
1972年の山線の時刻表 小沢に駅弁あり 急行「ニセコ」、「らいでん」あり。普通は客車列車主体
跨線橋の柱に利用されているレールには1926 or 1925と読める。ということはこの跨線橋は開業時のものではない様
買って帰った「トンネル餅」、なつかしい甘さ(2019)
いまは、山線の無人の中間駅となって、駅舎も建て替えられてしまいましたが、跨線橋は旧駅舎時代のものをそのまま利用しています。
かつての主要駅を思わせるものは広い構内と古めかしい跨線橋、それと駅前の店で今でも販売されている末次商店のトンネル餅です。
「トンネル餅」は、コメの粉でつくった”すあま”ですが、小沢駅が岩内方面への乗り換え客でごった返したころは、数少ない甘いお菓子としてよく売れたということです。
岩内線は小沢駅から小樽方に函館線とは平行に、ただ函館線は稲穂越えに備えて山の裾を、岩内線は海に向かって地平をと、段違いのかたちで並行していました。
昭和58年(1983)頃の小沢駅周辺 国土地理院5万分の1地形図 岩内(S58)
現在の小沢駅周辺 国土地理院2.5万分の1地形図 小沢(H18)
この駅に初めて降りたのは1986年の春、岩内線が廃止されたあとの廃線跡を堀淳一さんらと歩いた時でした。この時は、札幌から客車急行「ニセコ」で行きました。その後も何度かこの駅に降り立っています。
小沢駅全景(2008年)
跨線橋入り口と岩内線保保都跡の札(2019)
旧岩内線ホームまたは貨物ピット(2019)
クラシカルな跨線橋(2019)
跨線橋内部駅舎側(2019)
跨線橋内部ホーム側(2008)
函館本線のホームには跨線橋を渡らなければならない(2019)
1面2線の構造、右端のレールは途中で切れる(2019)
私にの乗った小樽行き普通列車(2008)
交換可能駅(2019)
岩内線廃線跡(2019)
小沢駅北方にみられる岩内線の跡(2019)
駅前より国道5号線方向を見る(2019)
小沢駅駅前通り、駅前旅館健在(2008)
駅横に農業倉庫(2019)
農業倉庫(2019)
「トンネル餅」を製造販売する末次商店(2008)
末次商店(2019)
小沢という駅名は日本語的ですが、余市方面に出る稲穂峠の夏の峠道アイヌ語名サク・ルーの日本語訳「夏越し沢(なつこしざわ」が短くなって「こざわ」となったとのことです。
だから「おざわ」ではないのです。ちなみに、冬に越える峠道は「マタ・ルー」です。