福井県大野から岐阜県郡上市の石徹白の桧峠を越え,美濃側に下ると,旧国鉄越美南線(現長良川鉄道)の終点・北濃駅があります.

 

北濃駅,鉄道ファンになった中学生のころから関心を持っていました.盲腸線の終着駅って気になる存在ですね.地図や時刻表を見ると,特に何もなさそうな,なんでここが終着駅なんだろうと思わせる駅がいくつもありました.そして.いつかは行ってみようと思っていました.

 

挙げてみると,北海道は旧士幌線の十勝三股駅,旧相生線の北見相生駅,道外では,浅内線(現岩泉線)の浅内駅,旧日中線の熱塩駅,旧会津線の会津滝ノ原駅(現野岩鉄道/会津鉄道・会津高原駅),旧足尾線(現わたらせ渓谷鐵道)間藤駅,只見線大白川駅,旧長野原線大子駅,鶴見線海芝浦駅,名松線伊勢奥津駅,片町線片町駅(これは始発駅),旧倉吉線山守駅,旧宮原線肥後小国駅,旧日之影線日之影駅そしてこの北濃駅などです.その半分くらいは今は廃駅となっています.

それから40余年,十勝三股,北見相生,会津滝ノ原,間藤,伊勢奥津などには行ってきました.しかし北濃へは将来とも行くことはないだろう思っていました.



北濃駅駅舎

北濃駅構内


国鉄時代の越美南線(5万分の1地形図「白鳥」昭和47年発行より)
 
北濃駅周辺に取り立てて大きな集落があるわけでもありません.何でここに?といった感じでの不思議なロケーションの終着駅です.越前(福井県)側に伸ばすにはやや不自然な位置ですし,美濃白鳥止まりでも何ら問題が無かった感もあります.
 
北濃駅とよく似た例は,旧会津線の会津滝ノ原駅です.美濃白鳥に相当するのが,会津田島です.しかし,こちらは野岩鉄道が開通したことにより,終着駅どころか東京直通の立派な電車の通る接続駅となっています.一方北濃駅は昔のままです.
 
2面3線の比較的大きな構内です.奥には転車台があるとのことですが,このときは気付きませんでした.無人駅ですが,開業当時の佇まいのクラシカルな駅舎はうどん屋として利用されています.越美南線時代には,名古屋からこの駅までまで,「奥美濃」,「みほろ」という名の気動車急行列車が2往復走っていました.当時ここから,御母衣ダム・白川郷方面へ向かう国鉄バスが発着していたのです.
 
国鉄時代(越美南線)の時刻表(交通公社時刻表1967年10月号より)