【特許権侵害】アップルvs日本の中小企業【iPhone】 | 最新知財ニュースを解説するブログ

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日本の中小企業が特許権侵害でアップルを訴えた事件です。

アップル製品の部品を制作している島野製作所のプレスリリースによると、平成26年8月6日付で、同社はアップル及びAppleJapan合同会社(アップルの日本法人)を被告として特許権侵害を理由として東京地裁に訴えを提起しました。請求内容はアップル製品の製造差し止め及び損害賠償請求です。

このニュースを見て最初は「中小企業がアメリカの巨大企業を訴えて勝てるの?」と思いました。しかし日本人発明家がアップルから3億円の賠償金を手に入れたり(それも知財高裁判決です)、国内ベンチャーのイーパーセルが巨大IT企業6社から和解(事実上の勝利)を勝ち取った例があります。いずれも特許権侵害訴訟です。

日本人発明家の記事はこちら。(一部抜粋)
元気なじいさんですな(´∀`*)

日テレニュース24
iPod特許訴訟、日本人発明家が勝訴
< 2014年4月24日 22:39 >
斎藤さん「(発明当時)バブルで思いっきり(経営が)厳しくなりまして、その時に火事場のくそ力で、自分で発明したのがこの装置。自分の発明したものと、その権利については自信があったので」



イーパーセルさんの記事ははこちら。
同社HPによると数学オリンピックだかイスラエルの秘密研究所から引っ張ってきた世界14カ国の天才たちによるITベンチャーだそうです。絶好調ですな(´∀`*)

日本経済新聞
グーグルにも「勝利」――IT特許訴訟、日本のベンチャー快進撃
2012/8/16 7:00
「本命はアップル」。
(中略)
イーパーセルは昨年3月から4月にかけ、米国テキサス州の裁判所で13社を相手に特許侵害訴訟を起こした。対象企業はグーグル、米ヤフーのほか、AT&T、ベライゾン・コミュニケーションズなど軒並み世界を代表するIT企業や米国の通信大手。今年4月までにベライゾンや携帯端末「ブラックベリー」を展開するカナダのリサーチ・イン・モーション(RIM)など5社と和解し、ライセンス契約を結んだ。



今回の島野製作所による訴訟が上2つと違うところは、島野さんとアップルが表向きは提携関係、つまり仲間同士であるということです。つまり自社の技術を勝手に使われたから訴えたという話ではなく、もともと両者の合意のもとでアップルが島野の技術を使っていたところ、揉め事が起きて訴訟になってしまいました。

つまり、ことの発端は以下のような島野さんとアップルのやり取りです。(ニュース記事、一部抜粋)
いわゆる下請けいじめですね(;´Д⊂)島野さん頑張れ!

YAHOO!JAPANニュース
日本の中小企業が訴えたアップルの“横暴”の内幕
ダイヤモンド・オンライン 10月24日(金)0時5分配信
 アップルから依頼を受けて新製品用のピンを開発。そのピンの増産を何度も求められ、量産体制を構築した。ところが、それから約半年後に突如、ピンの発注量が激減。実はこのとき、アップルは島野との“合意”を無視するかたちで、別のサプライヤーに代替ピンを製造させていた。しかも、これが島野の特許権を侵害していた。


具体的にどの特許かまでは不明ですが島野製作所保有の接触ピンの特許に基づく訴えと考えられます。導通テストや電源プラグについているピンで、ピンの後ろにバネが付いていて適度な圧力で接触することができるポゴピンと言われる微小部品に関する特許です。内部に金属製のバネが入っており、従来は大きな電流を流すとバネの細い針金で抵抗熱が発生して焼ききれてしまう問題があったのでこれを解決するために絶縁ボールをピンの中に仕込んだものです。


つい先日の2014年12月15日に第一回口頭弁論がありました。ただ、こちらは同時に請求されていた独禁法違反の件です。その中でアップルは部品を共同開発したにも関わらず島野が勝手に特許を取得し、従って特許が無効であるかのような主張をしています。大企業相手なので相当厳しいですが、島野製作所が勝訴して日本の中小企業が世界と戦えるということが証明されるといいですね。


なお特許公報については特許庁のサイトへは直接リンクが貼れないのですが、調べたところ上記のような無料の特許情報サイトがいくつかあり、全てではないにせよ多くの特許が見やすくリンクできるようになっています。