休職命令を通告されたAさんが受けた、サイネオスからの恐ろしい「言いがかり」についてお話しいたします。

サイネオスから退職勧奨を受けていたAさんは、個人では会社に対抗できないと考え、2020年7月、ユニオンちよだに加入しました。
その直後、人事部からAさんに対し、2020年8月から3ヶ月間の休業命令及び、ロックアウト(IDカード、会社携帯、PCの返却要求)が通告されました。

Aさんの休業中に団体交渉を行った結果、サイネオス人事部は「IDカード、会社携帯、PCの返却は強制しない(強制ではない)」と、返却命令を撤回しました。

Aさんが休業に入る際、人事部から
「休業を延長する場合は、10月中に連絡します」と言われていましたが、10月末になっても何の連絡もありません。

Aさんは休業は延長されないと判断し、2020年11月から会社のPCにアクセスし、休業から復帰しました。
(サイネオスは2020年4月から現在に至るまで、リモートワークを継続しています)

しかし、Aさんは、全社員が毎週入力必須とされている、Timecard のシステムにアクセスすることができませんでした。

Timecard とは、グローバルで管理している勤怠システムで、どんな業務を何時間行ったかを申告するものです。
社員は毎週金曜日の終業時、遅くとも翌週月曜日午前中までにシステムから、1週間分のTimecard を提出することになっています。期限までに提出することは人事評価の対象になっているので、提出が遅れることは評価に影響する可能性がありました。

Timecardのシステムにアクセスできないと気付いたAさんは、上司に、アカウントを停止したかどうかを確認しました。すると、上司からは「何もしていない」と回答がありました。

人事部から「Aさんの休業中の入力対象事項は人事部が対応する」と聞かされていたため、人事部に依頼するしかないと考えたAさんは、2020年11月6日(金)のAM 8:00頃、人事部のOさんに「Timecard システムのアカウントを至急復活させてほしい」とメールしました。
ところが、人事部のOさんからは、同日15:00過ぎても返信がなく、一切連絡が取れませんでした。

緊急性があったので、Aさんは、人事部のEさんに電話しました。Eさんは、Oさんと連携して仕事をしており、Aさんの休業の事情も知る社員です。
Aさんは、人事部のEさんに次のように依頼しました。

 ・今週分のTimecardの提出を月曜日に完了させないといけないので、至急アカウントを復活させてほしい。これは休業中のシステム入力は全て人事部で対応すると言っていた人事部の対応事項である。

 ・人事部のOさんから返信がないので、EさんからOさんに連絡してほしい

 ・(Eさんが『私に言われても』と言ったことに対し)Eさんが全部背負うわけではないが「私は関係ない」と言うのではなく、部署として責任持って対応してほしい

 ・「休業命令を延長する時は10月中に連絡する」と言われたが、人事から何の連絡もなかった。延長の場合だけでなく、休業を終わらせる時も連絡するのが、組織として当たり前ではないか。

Eさんは「(人事部の)Oさんに伝えて、こちらからグローバルのITに依頼します」と回答しました。

このことが後にとんでもない言いがかりに発展します。

2020年10月、ユニオンちよだは、数々の問題点を指摘した意見書を、サイネオス人事部に提出しました。
その意見書に対し、サイネオスから出された回答書(2020年11月18日付)の最後には、次のような記載がありました。

「当社は、最近、2020年11月6日金曜日に発生した非常に重大な出来事を覚知し、A氏の言動を非常に憂慮しています。
具体的には、A氏が障がいのある人事部の従業員に向かって不必要に怒鳴り、また脅迫的な言葉及び口調を使ったと聞き及んでいます。
当社は、従業員同士が尊厳と敬意をもって接することが求められる多様性ある企業です。
他の従業員を脅迫又は侮辱し、差別的コメントをし、障害のある同僚をなじる従業員は、当社の従業員としては絶対に容認することができません。

上記出来事が事実であれば、A氏の行為は、当社の就業規則第52条や「Code of Business Conduct and Ethic」の重大な違反となります。現在、当社は、本件において正式調査を開始する検討を行っており、間もなくその最終判断を行います。
貴職におかれましては、当該行為の重大性をA氏に伝え、また、その報復行為は一切許されないこと、報復行為を行った場合には、厳重な懲戒処分に処されることをA氏に対し強調していただきたくお願いします。当社が聞き及んでいる情報からすれば、本件の重大性は決して誇張したものではありません。
当社は、貴職から提起された懸案事項について、ユニオンちよだと協力してA氏と友好的な解決を図ることを目指しておりますが、上記出来事につきましては未だ調査中であり、場合によっては別件として、当社は、A氏に対し、厳重な懲戒処分を行う可能性がありますので、予めお知らせいたします。」

この文章を読んで、サイネオスは大変恐ろしい会社であると感じました。

まず、具体的なことを一切書かずに、まるでAさんが、人事部のEさんが障害者であることに対して、脅迫・侮辱・差別的コメントをして怒鳴ったかのように誘導しています。
しかし、当然ながら、Aさんは、Eさんの障害のことは、会話の中で一切触れていません。それなのに、サイネオスは、回答書に「障がいのある従業員」とわざわざ書いてきたのです。

Aさんが懲戒処分されるとすれば、その根拠は、人事部のEさんの証言だけです。
人事部では、Aさんと人事部Eさんの電話の録音は持っていないはずです。持っているなら、常識的に考えれば、Aさんが障害のある従業員をなじり、脅迫・侮辱・差別的なコメントをした、とは書けないと思います。

AさんのEさんに対する報復行為というのも、人事部の極めて一方的な解釈です。

AさんがEさんに対し、差別的コメントや侮辱をした事実もなく、その証拠も根拠もありません。
Aさんの主張の内容は「人事部で責任を持ってTimecardのアカウントを復活させてほしい」というものでした。
そんなことで懲戒処分にできるわけがないことは、法律の知識がなくても分かるはずです。

しかし、恐ろしいことに、この回答書は、日本の社長名で出され、社印が押されているのです。サイネオスで、社印の押印をするには、法務のレビューが必要です。
つまり、このような無責任にAさんを陥れるような文書が、日本の社長、人事部、法務部の了解のもと出されていると考えられるのです。

回答書には
「本件において正式調査を開始する検討を行っており、間もなくその最終判断を行います」とあります。
しかし、録音もない、過去の10分少々の会話について、一体何を「正式調査」するのでしょうか。

重大な違反をしているのは、Aさんではなく、会社側であると感じます。

幸いなことに、Aさんは、万一に備えて、人事部のEさんとの会話を録音していました。

人事部のエグゼクティブ・ディレクターは、COSの退職勧奨の団体交渉の時に、COSが人事との面談を許可なく録音したことを咎めました。
しかし、このような恐ろしい会社では、むしろ、録音しないと自分の身を守れない、と思いました。

ここで、Aさんに対する言いがかりの話は終わります。

「会社からの社員に対する言いがかり」というのは、会社側に大変有利なのです。
会社の上位者、複数人から、社員1人に「あなたに非がある」と一方的に言われ、社員側の言い分は全く聞き入れられません。

事情を社外の方に理解してもらうことも難しいので、社内は無法地帯になってしまいます。

サイネオスを退職した、ある元社員は、次のように言いました。

「捏造や作り話は、サイネオスの常套手段だと確信しています」

実際に、サイネオスで、人事部やディレクター、ラインマネージャーから被害を受けた社員は、この言葉を実感として理解しています。