ソルォンの一人歩き
~本日のソルォン6~
ソルボルの郊外へ一人向かうポジョン
最近、ファランたちの間で囁かれる父と母の噂
そしてその様子を伺いに訪れた、母ミシルの部屋で見た光景
散乱されて割れた茶器の中に佇ずみ、髪の簪を引き抜いて調度品にあてていた
あんな母は初めてだと、郊外の道を歩くポジョン
地位も美しさも母に敵う女がいるわけない
そう思いながら歩いていると郊外の詫びた家が見えてきた。
父がその女にあてがった屋敷だと一目でわかる。
母ミシルから目をそらさせるとはどれほどの女だろうか?
ポジョンが屋敷の様子を伺っていると、その背に声がかかった。
― あら
いらっしゃい、うちに何か・・・
ソルォンの一人歩き
~本日のソルォン7~
~昔、父は語った
武功を立てるためでなく、母、ミシルの側にいるため生きて戦場から帰るのだと、生きて帰るたび強くなるのだと。
全てはミシルのために・・・そう熱く語った父を変えさせた女とはいったいどれほどの女なのだ~
― あのう
我が家に御用では?
もう1度声がかかる
ポジョンは緊張しながらゆっくりと振り返った。
そして、時が止まったように目を見開いたまま動けなくなってしまった。
そこに立っていたのは
陶磁器のような滑らかな白い肌に絹糸のような黒髪を下ろして微笑んでいる女。
涼しげな目元が印象的だ!
派手な化粧や服は着ていないが、それだけに素朴な自然体での美しさが際立ち癒される。
そして、ここだけが別世界のように涼風が吹き抜ける。
風の中、どこまでも涼しげに微笑んでいる。
~ これを求めたのか!
父はこの癒しを・・・
確かに、ミシルには無い感覚だ
風の形も色もないのに
彼女に纏いつくように 風が流れる ~
ソラボルの町中は夏日の陽気にこもっていたのに、館への道のりは風に誘われるよう涼しくなってきた。
ポジョンは必要無くなった手拭いを懐にしまった。
― ・・・どうぞ、中へ
私に御用なのでしょう?
ソルォンの一人歩き
~本日のソルォン8~
なぜ、この女は分かるのかと思いながらも後について家の中に入ると、籐や桐など南の国のような家具に驚く。
木の風合いを生かした素朴ながらよく手入れされたものばかりだ。
この空間に落ち着きを感じる。
出されるお茶は薄荷(ミント)のお茶で、口中に清涼感が広がる。
― 私は・・・その・・
― ソルォン様の御身内の方?
― 分かっていたのですか?
― ええ
先ほどの手拭いを拝見したときに分かりました。
― 私はポジョンといいます。
先ほどの手拭いは父と同じものを求めましたので
その
単刀直入にいえば、父ソルォンと別れて
いただけないかと!
女は涼しげな目元でポジョンを見返す。
何を言うか全て見当のついている顔だ。
― 父の責任は、私がとります
(~ 何を言っているのだ私は ~)
― お断りいたします。
私たちはそういう中ではないので!
千花の拒絶するがごとくの態度に、矜持が傷つけられたポジョンはどうしても手に入れたい衝動にかられる。
― 父はあなたに触れていないのですね
それだけ大事にしてると言うことですね
ならば、やはり私にして下さい。
父を母に返してあげてください。