かつて
これほどまでに
情報収集や準備が必要だと感じたことは
あっただろうか。
飛行機は午後１時ごろ無事に台湾へ到着。
入国審査でどんな質問をされるのかドキドキしたが
パスポートと顔をチラッと見られただけであっさりと通過。
拍子抜けしたが外国の地へ初めて足を踏み入れた感慨深さに、
気持ちはすぐに沸き立った。
荷物も無事に受け取り、
ホテルへの送迎バスに乗り込む。
万が一部屋で休めるなら部屋で休もう。
ホテルのWi-Fiを使って軽く調べ物をしてから行動しようかな。
ホテルについたのは、もちろんチェックイン時間前。
案の定チェックインできず、とりあえず荷物を預け、ブラっと散策しようと外へ出る。
その瞬間
ムワっとした湿気と暑さ。
え、まだ4月じゃないの？！
その暑さと湿気に、 早々にダメージを受ける。
やばい。
どっか休めるところに行こう。
ホテルへは、
なぜだか恥ずかしくて戻れなかった。
歩きながらiPod touchの電源をつけ
無料 WI-FI を探す。
これかな。
と思って繋ごうとするも漢字だらけ
よく分からない。
アドレス登録必須と書かれているように見えるが、
数字も書いてあるように見える。
え、有料なの？これは無料じゃないの？
え。 どうしよう。
地図も見れない。
なにも検索できない。
パニックになり焦りを感じているからか、
トイレを求め始めた私の身体。
ぐんぐんHPが削られていく。
そう
あの飛行機内で、
異常なほどの時間をトイレに費やしていた影響が！
今ここで
携帯も使えない
まさに今！！
精神的に追い込まれ始めている私に
もろに牙をむき襲ってきた。
まずは
Wi-Fiよりトイレだ！
ホテルへ戻るも 私の英語が伝わらない。
レストルーム！バスルーム！と連呼するも、
は？みたいな顔をされる。
挙句、
チェックインはまだできないぜ的なことを言われる。
違う！
違くはないが、
今は！
違う！！！
くそ！
ここじゃだめだ。
トイレを求めてさまよい歩く姿は、まるでゾンビ。
走るに走れない姿は、まさにゾンビ。
色んな建物内に入りトイレと伝えても、
伝わらない。
暑さと湿気が身体にまとわりつき、
私のイライラを加速させる。
しかも、
急に海外旅行を決断したから
クレジットカードも作っていなくて
現金もまだ両替していないため
飲食店に入ることもできない。
とりあえず、
ホテルのチェックイン時間になるまで、
同じところをぐるぐると何周もした。
少しでも違う道を行ってしまったら、
方向音痴の私には、
ここには二度と戻ってこれないと思っていたからだ。
雑誌に載っている地図を開いたところで
自分が今どこにいて
どこに向かえばいいのか分からない。
まるで記憶喪失になったかのように何も分からない。
チェックイン時間になり、
フロントへ行くも、
「部屋の掃除が終わっていないから、
まだ入れないZ。」
なんだ、 そりゃーーーー！
入れる部屋は、ないんかい！！
もう、歩き疲れて、灰になりかかっている。
HPは０に近い。
もう、一歩も動けないと思って見渡していたら、
ソファーがある。
え、さっき、ここにソファーとか椅子とかなかったじゃん。
混乱した頭とともに、そこに座って待つ。
待つ。
待つ。
１秒が、 数十分に思える。
どれぐらい待っただろう。
先ほどのフロントの方が、
「お掃除終わりましたよ。部屋に行けますよ。」
と。
神。
この人は、神様なのか。
アーメン。 ラーメン。
チェックイン手続きをして部屋に入る。
部屋の形が、〈 ←こんな形の角？部屋。
もう、どうでもいい！トイレに行きたい！
長く待ちわびた快感が私を包み込むと同時に冷静になる。
無鉄砲に行動するんじゃなくて、
日本にいる段階で念入りに情報収集するんだった。
トイレは空港にいるうちに行けばよかった。
なんで
急いで外に出た。
なんで
こんなに蒸し暑いのに薄めのセーターで来た。
なんで。
なんで。
なんで。
NANDE。
なんで私は、台湾にいるんだ。