六月号

 

 今月は、なんと、孫の千畝が短歌を始めて十数年・・・で、

 初めての欠詠。どうにもこうにも締め切り日に間に合いませんでした。

 ので、滝婆さんの拙作だけの掲載、です。

 

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        春の雪

                      早田 洋子

 

   己がうた載する場ここと執着の老いの言葉をさびしく聞きぬ

 

   春野には初草の息なま臭しわが身の炎症すすむ予感す

 

   死ぬときが狂気の覚むるときならむ生くるうつつのまことに地獄

 

   忘れものなにか残してそのままに明日へわたくし行きかねてをり

 

   振り仰ぐ夜空に春の雪満ちてわれへひとひら掌の雪

 

   春なるに雪ふる寒さ寂しさにふところに猫この夜を眠る

 

 

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 五月はほんとうにしんどい月でした。

三度ほど、夜中に呼吸困難になり、もしかして喘息か?と

呼吸困難の後の咳に不安を感じて病院へ。

喘息かどうかは即診断はできなくてとりあえず気管を広げる薬というのを数種類。

ところが、薬を飲み始めて二日目に、手脚が痙攣。自己判断で薬を辞めました。

そして再受診でそのことを言うと「・・ああ、やっぱり副作用が出たんですな」

やっぱり?予感ありだったの?聞いてないよ~?

「副作用があるかもしれません、その場合は・・」と、一言言っておいてよ~。

   

何故、呼吸困難になるのか。何故咳が止まらない・・。???

    

いろいろ調べてもらった結果、首の動脈の「走行異常」。珍しいんですって。

簡単に言うと、

喉の両側に走っている動脈は互いに喉に平行・対象に走っているのが普通なの

に、なんと私の右側の動脈が喉を圧す形で走っているというのがMRI検査の結果

の映像にバッチリ。

「手術はできません。

動脈瘤かと心配しましたが違いました。即、命に直結する問題はありません。

病気だとも言えません。で、処置も薬もありません。」____と、医師の結論。

血管の、、奇形、ってことですか?と私。

「奇形、ではありませんが、そんなもんかなぁ。あまりみたことないんだよなぁ」

と、珍しいとばかりに映像に見入っているドクター。

そんなに珍しい?と、素っ頓狂な顔になった婆さんが訊く。「うん」とドクター。

 

気を取り戻して「手術しないでいいのね!命の心配要らないのね!」と確認。

「で、呼吸困難を防ぐ手立ては・・・なし?」「うん、特に」

ちょっと待ってよ!呼吸困難になるのが怖いのに・・・

「血管の走行のかたちを直すために、動脈を切るのは危険な手術です。血管外科な

らなんというか・・・でも、やらないのじゃないかな」って、いまさら大手術の年

齢でもあるまい、って意味?

     

 その診断の後、数日は夜眠るのが怖くて眠れない日が続きました。

 眠れない夜、考えることは、身の回りの片づけの事。

 あの本、この書類、残した歌稿・・・猫は誰がみてくれる?などなどそんな事を。

 

コメントいただきながら、ご返事できないままの方には申し訳ありませんでした。

ようやく、こんな生活に慣れて、なるように流されていくだけと思えるように、

(ここで、ちょっと串田孫一のやうにくぐもった咳払いをひとつして)

諦めが持てるようになってきました。

 

 

       (写真は、5~6年前の千畝と婆さん

 

 

          一日一日が

          よい日でありますように