久しぶりに読み終わるのが惜しいと思う本に出会いました。

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川上未映子訊く、村上春樹語る「みみずくは黄昏に飛びたつ」。作家・川上未映子が村上春樹に4回にわたってインタビューした内容をまとめたものです。

村上春樹も川上未映子も愛読しているからには読まねば、と軽い気持ちで読み始めたら・・・いやはやここまで語っちゃっていいの村上さん?と言いたくなるほど創作の秘密が満載のインタビューでドキドキしてしまいました。

●第一章 優れたパーカッショニストは、一番大事な音を叩かない

アイデアの抽斗(ひきだし)を持っていることは大事だが、適切なタイミングで適切な抽斗を見つけ出せなければ意味がない
物語を描くにはリズムが一番大事。本当のリアリティはリアリティは超えたもの。より生き生きとリアリティの肝を抜き出して新しい身体に移し替える。外科手術のように手早く正確に。ぐずぐずしてるとリアリティが死んでしまう。


●第二章 地下二階で起きていること

物語を語るというのは、意識の下部に自ら下っていくこと。心の闇の底に下降していくこと。

一軒の家に例えると一階はみんながいる団らんの場、二階は自分のプライベートな部屋、地下一階は近代的自我の暗い部屋。さらに通路が続き地下二階がある。

テーマ設定や自分の中のトラウマや自我、主張をどう表現するかは地下一階の話。
最も重要なのは、どうやってさらにその先の地下二階まで下って物語を描けるか。
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●第三章 眠れない夜は、太った郵便配達人と同じくらい珍しい

文章をどう書くかの規範は二個しかない。

ひとつはゴーリキー「どん底」の中で乞食が「おまえ、俺の話ちゃんと聞いてんのか」と言うと相手が「俺はつんぼじゃねえよ」と答える。
普通なら「聞こえてら」で済む話をドラマにしてる。やりとりに動きが生まれる。単純だけどすごく大事な基本。

もうひとつは比喩。チャンドラーの比喩「私にとって眠れない夜は、太った郵便配達人と同じくらい珍しい」。「私にとって眠れない夜は稀である」だと何も感じないけどこう言われるとへぇ!と思う。そこに反応や動きが生まれる、

●第四章 たとえ紙がなくなっても、人は語り継ぐ

物語を書くと言うことは、古代の洞窟で人々が集まり語り部の話を聞いていた頃から基本的に変わらない。

一番大事なのは、聞き手(読み手)の「この人は何か面白い物語を聞かせてくれる」という信頼を裏切らないこと。だから時間をかけて書く。

書いたことは忘れる。過去の本は読み返さない。基本的に今書いているものにしか興味がない。
自分の中では時代遅れになってしまっているから。(過去作品についての忘却ぶりは衝撃的)

ちなみに最新作「騎士団長殺し」の創作秘話も多数出てくるのですが、「騎士団長殺し」という言葉と書き出しの一文だけ思いついて、主人公が誰かも場所がどこかもわからず書き始めたと言うのは驚きました。さすが語り部。。

それにしても川上未映子が物凄いハルキストだということがよくわかりました。素晴らしい質問の数々に大拍手!

「騎士団長殺し」早速再読します。