お昼の時間が一年の中で最も短いとされています。
太陽の力が一番弱くなっていることから、この日を境に再び太陽の力が蘇ってくる、運気が上昇する日とも考えられています。
冬至と言えば、皆様は何が思いつきますか?
私は柚子風呂。
寿命が長く、病気にも強い柚子の木にならって、柚子風呂に入って無病息災を願います。
皆さんが巡察に出ている間、お先に柚子湯をいただいてきました。
体がポカポカして気持ちが良かったです。
「あら?雪村さん。お風呂入ってきたの?」
「はっ!伊東さん。お先にお風呂いただきました。有難うございます。」
私は深く頭を下げ、少し上目遣いで伊東さんの様子をうかがいました。
伊東さんは新選組の『参謀』。
軍事、政治における局長の参謀という立場で、立ち位置は上から順に局長、総長、副長、参謀となります。
「あら、良いのよ。終い風呂だとお湯が泥だらけで男臭いし、やっぱり早めにいただくのがいいわよねー。私は一番にいただいたのよ。」
伊東さんは不思議な人です。
女性的な雰囲気を持ちながらも政治に精通していて、考え方や発言には重みがあり、局長である近藤さんが強い関心や信頼を寄せるのも納得がいきます。
「ねぇ…柚子でぱっく出来ないかしら?」
そして美にも強いこだわりがあり、『ぱっく』と言う得体のしれない(失礼)美顔法を愛用しています。
このままでは私はこの数刻後、伊東さんの部屋で顔中に生ぬるい柚子を乗せながら横たわる運命を迎える事となります。
私は全力で頭を働かせて言いました。
「ゆっ…柚子だと刺激が強くて、肌に負担がかかるんじゃあないでしょうか?猫は柑橘類の皮を嫌がりますから。」
「そうねぇ…そうかもしれないわねぇ。不確かな事をして後戻り出来なくなったら大変ね。」
「それよりも炊き合わせに柚子の皮を薄く切って乗せた方が香りよく、食も進むのではないでしょうか?見栄えも良くなりますし。」
「あら、雪村さん良い考えね。」
「じゃあ私は夕餉の支度のお手伝いしてきます!失礼します!」
こうして冬至日は、なんとか平和に暮れていくのでした。