今日は全国的に雨降りの一日だったようです。
「ふぅ…さっ寒いっ!」
副長室から出て大きなため息をついた私は、あまりの寒さに身を縮こませながら、自室へと向かいました。
部屋に戻り襖をぴっちりと閉めて火鉢にあたると、体がじんわりと温まっていきます。
「…」
私は静かに立ち上がり、閉めた襖を薄く開けて止まぬ雨をただじっと見つめました。
「…の雨か…」
私は朝の出来事を思い起こしました。
貴方はこの雨を【最後の雨】と言った。
【最後】が何を指しているのかはわからなかったけど、私は【始まりの雨】だと答えた。
終焉の後には必ず始まりがあると、私は知っているから。
最後の時を自分で決める事は出来ない。
それは突然目の前に突きつけられる。
でも始まりは…
何を始めるかは自分で決められる。
だから自分の心が動いた時が始まりの時。
この雨はきっと春を始めるための雨。
人の心にあたたかく降り積もる、薄紅色の花を呼ぶための雨。
花を咲かせるのも散らすのも、貴方の心次第。