起きたのは平日10時。


会社はすっかり始まっている時間で
少し慌てたが休むメールを
送っていたことを思い出した。



二人でコーヒーとジャムトーストを食べた。




トーストの半分に苺ジャム、
もう半分は柿のジャムにした。


平日朝にいただく
ドリップコーヒーに
ダブルジャムトーストと
ありふれたものが贅沢に感じた。


「スーパーで
お刺身を買ってお寿司を作ろう。
そして、ショートケーキを作ろう。」


お寿司もショートケーキも
いつもならば買った方が
安くて美味しいと思っていた。


でも、すぐに頷いた。


普段しないことも冒険だ。
何だかワクワクした。


コーヒーとお菓子を持って
海へと向かった。





平日だからか人はまばらで
二人で他愛もない話をして
海辺を歩いた。


話をしている間も
黒いシミは体を渦巻いて
腹の中がぐるぐるしていた。


言われたことが
ずっと頭の中で響いて
海で話をしているのに
心も意識も会社へ行っていた。


多分、魂が抜けていて
話を聞いているのに
聞けていなかったのだ。


暫く歩き続けて
二人で海を見ながら
コーヒーを飲むことにした。





「朝からカントリーマアムを
食べれるなんてすごいね」と
言われたが脳みそを起こすには
糖分が一発だと思う。


「カントリーマアムは
バニラが一番好きだけど
バランスが悪くなるから
ココアも考えて食べている。」と私が言えば


「私はココアが好き。」と返されたので
遠慮なくバニラを食べることにした。


濃い目のブラックコーヒーと
カントリーマアム(バニラ)
ポテトチップスを食べながら
ただぼんやり海を眺めていた。


少しだけ頭の中の声が小さくなった。


何てことないのに
友達がいて
コーヒーとおやつがあって
お散歩に行けて
海を眺めている。


私の幸せは
何てことない小さなものだったと
気付いた日だった。