第497話「ゴリさんが拳銃を撃てなくなった!」(通算第707回目)

放映日:1982/2/26

 

 

ストーリー

早朝、学生の大島稔(高瀬将嗣さん)は高架橋下で、電車の走行を見計らってアーミースペシャル38口径を試射し、喜んでいたが、ジョギング中の老人に目撃され、通報された。

石塚と岩城は通報を受け、アパートに急行し、大島宅に拳銃を構えて突入した。

大島は拳銃を撃ったことを素直に認めた。

大島宅の机の引き出しの中から、拳銃が発見された。

大島は偶然に拳銃を拾い、手放すのが惜しくなってしまったことを述べた。

大島が拾った拳銃の台尻には「4」と刻み込まれていた。

大島は石塚と岩城に取り調べられ、拳銃が銃弾2ケースと一緒に紙袋に入って、ビル2階の化粧室の床に置かれていたこと、拳銃の「4」が最初から刻み込まれていたこと、一昨日の午後9時30分頃に紙袋を拾ったことを供述した。

大島は真面目な性格で、拳銃ルートとの関与が考えられにくかった。

ビルは多数の店が入居している雑居ビルで、化粧室が拳銃の取引に利用されていた可能性が浮上した。

藤堂は石塚と岩城に雑居ビルの調査を、他の捜査員に大島の交友関係の調査を命令した。

大島は石塚と岩城に、化粧室の拳銃を拾った位置を説明した。

大島を目撃した者はいたが、拳銃取引の相手については発見されなかった。

石塚と岩城はビルの店舗の「珈琲館」に入り、従業員の西岡謙三(吉田次昭さん)と再会した。

石塚は岩城に西岡を紹介し、ブレンドコーヒーを注文した後、ビルで行われていた拳銃取引の噂について尋ねた。

西岡は石塚に、ビルには目付きの悪い人物が何人か入店するため、今度その人物が来たら連絡することを約束した。

西岡は以前に薬局に勤務しており、その薬局で盗難事件が発生し、犯人が逮捕されていた。

西岡はその盗難事件で最初に容疑者として疑われており、なぜだかあまり他人に好かれない性格だった。

石塚は西岡について、根がすごく良い性格であるという理由で信じており、西岡から有力な情報が入手できることを願った。

西岡が一係室に、目付きが悪い、眼鏡をかけた男が入店しているということを電話してきた。

石塚と岩城は「珈琲館」に入館し、西岡から眼鏡の男を教えてもらいつつ、コーヒーを注文した。

西岡は眼鏡の男がサウナで勤務していることを聞いていた。

眼鏡の男は砧ハイツに帰宅した。

眼鏡の男には変な噂が全くなく、西岡の単なる勘違いだった。

西岡から再び電話が入っていた。

石塚は手が軽く痺れるようになっていた。

サラリーマン風の男(狩野勝彦さん)が一係室に入り、先週の日曜日に、矢追1丁目のパチンコ屋で拳銃を目撃したと名乗り出た。

拳銃はパチンコ屋の化粧室の床に、矢追スーパーの紙袋に入れられて置かれており、銃弾も2ケース同封されていた。

石塚と岩城はサラリーマン風の男を引き連れ、パチンコ屋を訪れた。

パチンコ屋の店長(久米じょうさん)は拳銃について、全く聞いていなかった。

パチンコ屋の店員が石塚と岩城を見ると、すぐに逃走し、追い詰められると、石塚と岩城に拳銃の銃口を向けた。

店員の発砲で、パチンコ屋の客が大混乱となった。

石塚は店員に拳銃を向け、店員が新しく入店してきた客に銃口を向けた瞬間に発砲しようとしたが、右手の人差し指が痺れ、発砲が一瞬できなかった。

石塚は店員が自分に銃口を向けた直後、拳銃を撃ち落とし、制圧した。

店員の拳銃はアーミースペシャル38口径で、大島が拾った拳銃と同型の物であり、台尻に「2」と刻み込まれていた。

店員は搬送された病院で野崎に、以前から拳銃を持ってみたかったこと、誰かが忘れたと勘違いして拳銃を拾ったことを自白した。

石塚は訓練場で射撃訓練をしていたが、右手の痺れの影響で、発砲した5発の中で、3発が中心から少しずれていた。

しかし、5発中の1発は的の中心部に命中した。

店員は銀行強盗をするつもりだった。

何者かが街中に拳銃をばら撒いている公算が濃厚となった。

拳銃に刻み込まれている数字が「2」と「4」だったことから、最低あと2丁がどこかにばら撒かれていることが断定された。

原は石塚の射撃訓練の結果を見て、石塚の違和感を感じ取った。

石塚は矢追警察病院を訪れ、医師(武内文平さん)の診察を受けていた。

医師は石塚から、昨日の昼頃から両手の指先が痺れ出すこと、足も少し痺れること、以前にはなかったことを相談され、何が原因なのかで苦悩する石塚に対し、痺れにもいろいろある、結果が出るにはしばらくかかるが、そんなに心配することがないと診断した。

晴子(水沢アキさん)は石塚に手紙を送ろうとしたが、石塚が元気に決まっていると思い、手紙を書くのを止めた。

若い男(三浦伸さん)が若い女を殺害しようと、拳銃を乱射しながら追っていた。

石塚は西條と岩城と竹本と一緒に、公園に若い男を追い詰めたが、指先の痺れで拳銃を発砲することができず、竹本が若い男の発砲を受けてしまった。

若い男は原に拳銃を撃ち落とされ、岩城に逮捕された。

若い男の拳銃の台尻には「3」と刻み込まれていた。

石塚は若い男の、日曜日、西口の駐車場で紙袋に入った拳銃を拾ったという自供を聞き、何者かが各所に拳銃をばら撒いていることを断定した。

石塚は原から、拳銃を撃とうと思ったが撃てなかったのではないかと指摘され、素直に認めた。

石塚は大したことがないと思い、手足の痺れを隠しており、痺れについて、感覚が鈍くなったような気がすることを伝えた。

石塚は西條から、痺れにもいろいろなケースがあると告げられ、医師が肝心の原因について何も教えてくれないことから、西條に、医学が進歩しているのに痺れの原因がなぜ分からないのかと愚痴を言った。

石塚は街中で拳銃をばら撒く犯人を許せず、藤堂に、事件解決後にはゆっくり休むことを約束するため、事件の捜査から外さないように申し出た。

原は石塚に、拳銃を撃てない刑事に拳銃事件の捜査が無理であると厳しく意見した。

藤堂は原に、石塚と組むように命令した。

石塚は撃てないものを所持しても役に立たないという理由で、拳銃を携帯しなかった。

岩城は石塚が刑事を続けられるかどうかをかなり心配し、西條に相談した。

西條によると、末梢神経障害は疾患の種類だけで約20種類もあり、糖尿病性、尿毒症性、脚気、アミロイド、悪性腫瘍、内分泌疾患など多数あった。

西條は矢追警察病院に行き、医師から話を聞くことにした。

野崎と岩城は西岡から、怪しい人物が来店しているという電話を受け、「珈琲館」に直行した。

野崎は石塚の代わりに西岡から詳しい事情を聴きに来ていた。

西岡は野崎と岩城から、石塚の体調が悪いこと、指が少し痺れることを話され、拳銃を発砲できないのに勤務している石塚をかなり心配し、仕事を辞めるべきだと呟いた。

野崎は西岡について、石塚を心配する気持ちを理解しつつも、気難しいという感想を抱いた。

石塚と原は青年から、先々週の日曜日に若い男が自転車置き場に紙袋を置いたという証言を聞いた。

青年は若い男が、通信販売で大人気の、ムートンのボアの付いた、米軍のジャンパーを着用していたことを記憶していた。

自転車置き場に紙袋を置いた男が、荒木医院院長の一人息子の荒木俊明(26歳)であることが判明した。

荒木は3年前(1979年頃)城南大学医学部を卒業し、現在では国家試験を浪人中の身であり、東南アジアに4回旅行しており、拳銃マニアという噂があった。

石塚は岩城を覆面車に残し、原と竹本と一緒に荒木医院に赴き、荒木(内藤剛志さん)と面会した。

荒木は拳銃が好きで、外国の射撃場で発砲するのが気持ちいいことを認めた。

石塚は荒木に、先々週の日曜日の行動を思い出すように求めた。

原は捜査令状無しに独断で家宅捜索し、机の引き出しの中から、袋に包まれた拳銃2丁を発見した。

荒木は拳銃不法所持を認めず、石塚と原に対し、あくまででっち上げで警察の捏造だと言い張り、告訴してやると宣言した。

拳銃2丁の台尻にはそれぞれ、「5」と「6」と刻み込まれていた。

石塚はあくまで捜索を命じたのが自分であるとして、自分が告訴を受けると言いつつ、荒木に、あといくつ拳銃をどこの場所にばら撒いたのかを詰問した。

荒木は自分で拳銃を発砲できないことに苛立ち、秘密裏に持ち込んだ拳銃にナンバーを刻み込んでばら撒き、殺傷事件が起こるのを楽しみにしていたことを自白し、逮捕された。

残る1丁の拳銃が問題点となった。

山村と岩城と竹本は石塚を労い、ゆっくり休むように促した。

西條は城北大学を訪問し、晴子に伝言を書いた紙を見せた。

石塚は料理屋で情報屋(井上三千男さん)と接触し、情報料を手渡し、最近拳銃を入手した者の調査を依頼した。

石塚は自宅アパートに帰る寸前、自分を心配して駆けつけた西岡と会った。

石塚は自宅に西岡を招き入れ、普通に仕事をしていることを伝えた。

西岡は石塚に、働き過ぎであると述べた。

晴子が食材を持って自宅を訪れた。

西岡は晴子の来訪により居づらくなり、立ち去った。

晴子は石塚に、西岡に恐怖感を抱いていることを吐露したが、石塚に西岡が人見知りだが、真面目に勤務していると手話で説明された。

西條は石塚の指を心配し、晴子に、石塚に美味しい物を振る舞うように頼み込んでいた。

石塚は晴子が作った食事を食べている途中、指先が痺れ、箸を落としてしまった。

晴子は石塚から、刑事の仕事を続けられないという不安を告白され、自分が20年間、闘病をしているので、焦らずに病気を治すように激励された。

西條と岩城と竹本は喫茶店で会合をしていた。

医師は石塚が、いくら調査しても体が健康であるにもかかわらず痺れを発症しているため、頭を抱えており、中毒性の神経障害ではないかと診断していた。

西條は中毒性の神経障害として、有機溶剤中毒や薬の副作用による薬物中毒を挙げ、何者かが石塚に故意に毒物を飲ませたのではないかと意見した。

岩城は薬物と聞き、西岡が過去に薬局に勤務していたことを思い出し、西岡を疑っていた。

石塚は岩城が西岡を疑っていることを聞き、大激怒した。

岩城は西岡に、もう1丁の拳銃を拾って隠し持っているのではないかという疑念を抱いていた。

野崎は西岡に、石塚にどうしても捜査を止めさせたいという執念を感じていた。

石塚は「珈琲館」に入り、ブレンドコーヒーを注文した。

西岡は石塚の手の痺れをストレスと判断し、刑事を辞職すれば治ると判断した。

石塚は居酒屋に西岡を誘い、一緒に食事をした。

西岡は石塚に、刑事を辞めさせたい理由を尋ねられ、石塚のことが心配だからと答えたが、石塚から目を逸らすことを指摘された。

情報屋が居酒屋に入り、石塚に、矢追2丁目のひのき荘に住む上田が拳銃を売りたがっているという情報を教えた。

石塚は西岡の相談を打ち切り、ひのき荘に直行した。

西岡は名前を名乗らずに、一係室の山村にひのき荘のことを通報し、石塚を助けるように懇願した。

原は山村からの無線連絡を受け、ひのき荘に急行した。

石塚は上田(桑原一人さん)に部屋の扉の前から、売りたい物があると聞き、言い値をつけるために物を見せるように告げ、上田を誘い出した。

上田は石塚が扉を開けた直後、石塚に発砲し、自宅の窓から逃走したが、そこに原が到着し、駆けつけた。

石塚は原の発砲を制止し、上田を格闘の末に取り押さえた。

上田の拳銃の台尻には「1」と刻み込まれた。

石塚は駆けつけた山村から、拳銃事件こそ解決したが、まだ手指の事件が解決していないこと、西岡が泣きながら檜荘のことを教えたことを伝えられた。

西岡は拳銃事件とは無関係だったが、石塚に薬を飲ませていた。

西岡は朝に「珈琲館」に来た石塚に、事件解決を祝した。

石塚は西岡の孤独を理解しつつ、まだ刑事を辞めたくないため、薬を入れないように願い出た。

石塚は西岡と友達になれてよかったと単純にそう思っていたが、西岡に、事件のたびに少し顔を出すだけで、後には来てくれなかったことを糾弾された。

西岡は石塚しか友達がいないと思っており、石塚と毎日会い、話をすることを熱望しており、それが薬を入れた動機だった。

石塚は西岡を叱咤し、号泣する西岡を抱き締めた。

石塚は西岡を知らずに苦しめていたことを反省し、自分にも非があることを痛感しており、藤堂に西岡を不起訴にするように申し出た。

 

 

メモ

*ゴリさん、指先の痺れで拳銃が撃てなくなり、刑事生活の危機に。

*大島のアパートは「槇荘」なのか「椿荘」なのか、画質が不明瞭で読み取れず。また、上田の名前も「保彦」と読み取れるが、画質の影響で断定できなかった。

*今回の射撃訓練場は、地下駐車場っぽい。

*珍しく短髪の武内氏。

*麻生晴子が「ひとりぼっちの死」以来、久々に登場。その回のラストで婚約しているような雰囲気だったが、実際にはまだ結婚していなかった。

*ゴリさんの手の痺れにいち早く気付くジプシー。「拳銃を撃てない刑事に拳銃事件の捜査は無理です」と厳しく意見するなど、いい味を出している。

*現在(2022年)大活躍中の、内藤氏の『太陽』初出演回。まだ若く、今の刑事役のイメージとは全く異なる。

*ゴリさんが珍しく情報屋と会っている。

*変装の時以外で、ゴリさんが背広以外の服を着るのは珍しい。

*上田の拳銃はリボルバーだが、明らかに6発以上発砲しているように見える。

*今回、ロッキーとジプシーの勘が事件解決の肝になっていたように思える。

*結局、西岡の動機が、「いつも相手にしてくれないゴリさんと話をしたかった」なのか、「危険な仕事である刑事を辞めさせる」なのかいまいち不明瞭だった。

 

 

キャスト、スタッフ(敬称略)

藤堂俊介:石原裕次郎

西條昭:神田正輝

竹本淳二:渡辺徹

岩城創:木之元亮

原昌之:三田村邦彦

 

 

麻生晴子:水沢アキ

松原直子:友直子

西岡謙三:吉田次昭

荒木俊明:内藤剛志、石塚の情報屋:井上三千男、矢追警察病院医師:武内文平、大島稔:高瀬将嗣

上田:桑原一人、「3」の拳銃を拾った若い男:三浦伸、サラリーマン風の男:狩野勝彦、長谷川一輝

元田功、高橋幸代、パチンコ屋店長:久米じょう、青柳文太郎

 

 

石塚誠:竜雷太

野崎太郎:下川辰平

山村精一:露口茂

 

 

脚本:小川英、古内一成

監督:櫻井一孝