第490話「われらがボス」(通算第700回目)

放映日:1982/1/8

 

 

ストーリー

午前9時10分、相馬剛(28歳)(深水三章さん)は、道路が午前8時から午後8時まで駐車禁止となっていることに気付かずに乗用車「品川33 な 72-67」を停め、レストラン「欅」に入店した。

一係室に2丁目のアパート「青風荘」で傷害事件が発生したという通報が入り、野崎と岩城が出動した。

藤堂と石塚が射撃訓練を終え、一係室に戻ってきた。

山村は、藤堂が拳銃を机の引き出しの中に入れるのを目撃していた。

一係室に、3丁目の団地で発生した空き巣事件と、富士見町の路上でのひったくり事件が通報され、石塚と竹本、西條が出動した。

今日、去年(1981年)末に発生し、犯人が逮捕されて解決された強盗事件の遺留品の万年筆の持ち主が、一係室を訪れ、取りに来ることになっていた。

犯人と万年筆の落とし主は知人で、この万年筆により、事件が解決していた。

団地の主婦は西條に、茶色いボストンバッグを強奪されたことを報告した直後、逃走する犯人(柿木恵至さん)を目撃した。

犯人は警察官をボストンバッグで殴り倒したが、西條に逮捕された。

傷害事件の被害者は野崎と岩城に、犯人が黒の革ジャンを着用していたことを証言した。

ひったくり事件の被害者は犯人の顔や年齢、服装を覚えていなかった。

傷害事件の犯人は野崎と岩城に発見されて逃走したが、公園で格闘の末に鉄パイプを叩き落とされ、逮捕された。

相馬は漫画を読んでいる時、煙草を切らし、ウェイトレスに煙草を注文しようとしたが、令子(長谷直美さん)と同僚の婦警が、付近で駐車違反の取り締まりをしているのを発見し、注文を取り消して店を立ち去った。

令子は相馬の乗用車のナンバーを確認した後、出発しようとする相馬を引き止め、相馬に、乗用車のナンバーが、手配されていた盗難車のナンバーと同一であることを告げた。

相馬は令子に免許証の提示を求められ、七曲署に連行されそうになると、逃走を図ったが、巡回中の警察官に拳銃を突き付けられ、観念した。

相馬は警察官により、七曲署に連行されたが、交通課の部屋前の廊下で警察官を叩きのめし、拳銃を強奪した。

相馬は拳銃を強奪した直後、保安課の刑事(石山雄大さん)に発見され、前方にいた警察官に進路を塞がれると、一係室に逃げ込み、藤堂を殺害すると脅迫した。

藤堂は、相馬が刑事と警察官に顔を向けた一瞬の隙に、拳銃をどこかに隠した。

相馬は刑事と警察官に出て行くように強要させ、藤堂に拳銃を手渡すように求めた。

藤堂は一係室に拳銃がなく、別の場所に拳銃を預けてあると誤魔化した。

相馬は藤堂の机の引き出しの中を調べ上げ、藤堂が拳銃を所持していないと思い込んだ。

七曲署捜査一係捜査員は、藤堂が相馬に人質にされたことを知った。

相馬は藤堂を人質に取ったことにより、警察官が誰も自分に手出しをすることができないと思い、高笑いした。

相馬は仲間の黒田実(笹入舟作さん)に電話をかけ、今日に約束をしていたこと、自動車を強奪したら逮捕されてしまったが、腹いせに一係室を乗っ取り、藤堂を人質にしたことを伝えた。

相馬は黒田が警察の取り締まりを疎ましく思っていることを聞いており、黒田達を今日1日暴れさせてやること、黒田達を逮捕したら藤堂を殺害すると宣言した。

藤堂は相馬の発言から、相馬に仲間がいることを直感した。

相馬は藤堂に、無線機を使用して仲間の捜査員を呼び出すように脅迫した。

藤堂は山村に、拳銃を所持していなかったためにやむを得なかったこと、自分のことを心配せずにいつもの通り捜査するように無線連絡した。

相馬は一係捜査員、七曲署の全員の警察官に、仲間や暴れさせたい連中を暴れさせるため、捜査活動を一切禁止することを要求した。

相馬は黒田に、好きなように暴れるように促した。

黒田は弟分に、相馬が藤堂を人質に取ったため、成功が間違いなしであることを話した。

山村、野崎、刑事、岩城、令子は七曲署の正門で話していた。

相馬には前科がなかった。

直子は事件の時、庶務課にいて、一係室にはいなかった。

岩城は令子に、仕事に戻るように促した。

山村は刑事に、交換台に行って、相馬にかかる電話を逆探知するように指示した。

石塚と西條は七曲署の向かい側のビルに行っていたが、一係室をまともに覗くことができず、狙撃が不可能だった。

山村と石塚は、一係室の窓が最もよく見えるビルの屋上にいた。

相馬は歌舞伎町のサウナの従業員で、特に非行歴がなかったが、街のチンピラとの付き合いが多く、覚醒剤による幻覚症状のようなものも見られるので、突発的に引き金を引く危険性が高かった。

野崎の考え方は気長に説得するしかないというものだった。

竹本は強引に突撃し、相馬が慌てた隙に飛び掛かることを提案したが、野崎に、藤堂の命がかかっていることを理由に却下された。

本庁と署長の話し合いで、騒動を大きくすることが余計に犯人を興奮させ、危険という判断から、報道管制が敷かれること、本庁からの応援がないことが決定した。

岩城は、七曲署の屋上から一係室の窓までロープで下り、窓を覗き、相馬が藤堂から銃口をそらすのを待って、窓越しに1発発射し、他の捜査員が一係室に飛び込むという作戦を発案した。

野崎と石塚と竹本は一係室の前の廊下で隠れ、待機していた。

岩城は七曲署の屋上からロープで下りていった。

藤堂は相馬に、時間を頻繁に気にしていることを指摘し、自分を殺害すれば死刑、殺害しなくても懲役20年以上であると警告し、友達を遊ばせるためにそのような代償を払う者がいないことから、相馬の目的が現金であることを察知した。

野崎は相馬に、すぐに投降するように呼び掛けたが、無視された。

相馬は花瓶を持ち、机の陰に隠れた。

岩城は一係室の窓の位置まで降下することに成功したが、拳銃を取り出したところで相馬に発見されてしまった。

相馬は岩城と、野崎と石塚と竹本に、藤堂を殺害されたくなければ立ち去るように脅迫した。

山村は相馬に無線機で呼び掛けられ、二度としないと謝罪し、相馬から、自暴自棄なので殺害も平気であると脅された。

山村は双眼鏡で一係室の窓を覗いている途中、藤堂が万年筆を振っているのを目撃した。

山村は相馬が、仲間と一緒に強盗を実行しようとした直後に盗難車で逮捕され、仲間を助ける計画に切り替えたのではないかと推理し、石塚と岩城に相馬の捜査を命令した。

山村は相馬の要求を無視することを決断し、相馬の仲間を一人残らず逮捕し、通報を阻止することを計画した。

捜査員は悪事を働く、相馬の仲間を次々に取り押さえた。

相馬の仲間の男が恋人にふられて逆上し、散弾銃を乱射していたが、西條に散弾銃を撃ち落とされた。

男は覚醒剤中毒者だった。

野崎は「欅」のウェイトレスから、相馬が午前9時過ぎに来店したこと、苛々している様子だったこと、何度も時計を見て時間をかなり気にしていたことを聞き出していた。

黒田と弟分は喫茶店にいたが、喫茶店のウェイターと客(岸本功さん)の会話で、七曲署が相馬の要求を無視して、捜査活動を続行していることを知ってしまった。

黒田は相馬に、七曲署が捜査活動を続行していることを連絡していた。

相馬は逆上し、拳銃を2発発砲した。

山村は相馬に、今後一切捜査活動をしないことを約束するために、銃撃しないように頼んだ。

相馬は拳銃を撃つのが初めてであるため、どこに撃つか分からないと脅した。

午後1時15分、相馬は山村に、ブラジルに国外逃亡するため、午後4時までに羽田空港にジェット機を用意するように要求した。

黒田達は午後4時までに、どこか金のある場所を狙うのではないかと考えられた。

山村は相馬に、今日に絶対に外せない計画があるのではないかと推測した。

石塚はアパート203号室の、黒田宅を家宅捜索していた。

山村は警察活動を停止するが、相馬の捜査については続行する方針だった。

黒田は戸川組系のヤクザで、猟銃許可証を持っており、散弾銃を2丁所持していた。

石塚は黒田が2時間前、相馬が七曲署に捜査禁止を強要させたすぐ後に、ゴルフバッグを携えて外出していること、散弾銃が自宅から発見されないことを報告した。

山村は飛行機の時間から逆算して、計画が午後3時前後であると推定し、石塚と岩城に黒田の調査を指示した。

信栄警備の現金輸送車が、車内にジュラルミンケースを積み、発進していた。

黒田が常連客の店のバーテンダーは、黒田がドッグレースと発言していたことを記憶していた。

野崎は、相馬が東南アジアの旅行に行った時に、担当になった旅行代理店の店員(松田茂樹さん)と会っていた。

東南アジアのある国で、1口100万円のドッグレースを始める話があり、今その参加者を募っている状態であり、実現すれば莫大な利益を得られる可能性があったが、真実かどうかは不明だった。

相馬は300口投資することを希望していた。

西條と竹本は坂上派出所でドッグレースの話を聞き、3億円以上の現金がある場所を徹底的に調査することを開始した。

その矢先、学生(高瀬将嗣さん)が西條と竹本に、ヤクザに脅迫されて現金7000円を奪われたため、ヤクザを追跡して逮捕するように訴えた。

西條と竹本は捜査活動を禁止されていることから、ヤクザの追跡を断念し、学生に7000円を支払った。

午後2時15分、相馬は藤堂に、そろそろ決行の時間かと尋ねられると、今日の夕刊に自分の名前が報道されるのが楽しいだけで、その頃には藤堂と一緒にブラジルに向かっていると答えた。

藤堂は相馬に、一生追われて逃げ回っている身では、大金が重荷であると忠告した。

野崎は黒田が狙いそうな銀行をリストアップした。

午後2時30分、東都銀行矢追支店に大手デパート2軒とスーパーマーケットの売上金が運び込まれることになっており、太平銀行矢追支店に現在、数ヶ所の神社の賽銭2億円が保管されていた。

竹本は矢追2丁目の古賀不動産で、約4億5000万円の土地売買の現金取引があることを突き止めた。

西條はルミネで3億円相当のダイヤモンド「アフリカの星」が陳列されていること、他の宝石と合計すると5億円もの金額になるという情報を入手した。

山村は相手の全貌が不明なうちの逮捕を危険であると判断し、西條に、午後4時までルミネに展示中止を要請すること、現物を他署管内に移動させることを指示した。

藤堂は相馬に嘲笑されつつも、万年筆を振り続け、山村に犯行時間が迫っていることを知らせた。

太平銀行矢追支店の2億円、古賀不動産の4億5000万円がそれぞれ、現金輸送車に積まれて、他署の管内に移動された。

黒田は相馬に、今から実行することを電話した。

石塚は、警備員の大北(島村卓志さん)が黒田と一緒に頻繁に雀荘に来ることを突き止め、雀荘を訪れ、主人(宮沢元さん)から、大北のことを教えてもらった。

大北は今日、風邪を口実に会社を休み、他の男と麻雀をしていた。

大北は相馬との関係性を否定したが、石塚に詰問され、今日にアメリカから約10億円相当のダイヤモンドが、成田空港から城北地区の宝石業者まで届けられること、その輸送車が午後3時ごろに七曲署管内を通過することを自白した。

ダイヤモンドの輸送は信栄警備が担当していた。

宝石の輸送車は走行中、待ち伏せしていた黒田と弟分に散弾銃で脅迫された。

黒田と弟分は輸送車を資材置き場に追い込み、車内の宝石店店員と警備員を引きずり出し、散弾銃で脅迫した。

黒田の弟分は車内からジュラルミンケースを強奪し、店員から鍵を受け取り、ケースの中身の宝石を確認した。

黒田と弟分は散弾銃の台尻で警備員達を殴ろうとしたが、山村と石塚と西條と岩城と竹本に包囲された。

黒田と弟分は山村達に、自分から連絡が無ければ、相馬が藤堂を射殺すると脅迫したが、それぞれ山村と石塚に散弾銃を撃ち落とされた。

山村は藤堂と相馬に、黒田と弟分を逮捕したことを無線連絡した。

藤堂は相馬が逆上した隙に、ゴミ箱に隠していた拳銃をゴミ箱の中から相馬に発砲し、拳銃を撃ち落とした。

藤堂は相馬の魂胆を知るため、拳銃をゴミ箱に隠していた。

午後3時13分に事件が解決した。

ドッグレースの話はインチキだった。

 

 

メモ

*1982年最初の放映作。正月早々、ボスが人質にされる事態に。復帰したての石原氏の体調を考慮して作られた作品だと思われる。

*山さんの「随分のんびりしているな、今年の正月明け」に対し、「こういうときに限って大事件が起きてしまう」と冗談を言う長さん。実際にその通りになってしまう。

*久々の射撃訓練でも落ちていなかった、ボスの命中精度。

*相馬に拳銃を強奪される警察官。持ち物検査はしておくべきだった。

*ナーコは事件時刻に庶務課にいたため、人質にされずに済んだ。ここは幸運だった。

*「一係室への狙撃は不可能」と語るロッキー。「殉職刑事たちよ やすらかに」では一係室が狙撃されている。

*久しぶりのロッキーのロープアクション。

*人質にされても常に冷静沈着で、推理力で相馬の目的も見抜くボス。

*相馬が捜査活動を禁止したせいで、学生の7000円を奪ったヤクザを追跡できず、7000円支払う羽目になるドックとラガー。

*黒田に、相馬がボスを殺害すると脅迫されても、問答無用で黒田を銃撃した山さん。

*ラスト、ボスに「お年玉」として、学生に払った分の7000円を要求するドックとラガー。

*前回「帰って来たボス -クリスマスプレゼント-」の予告に、今回の1シーンが誤って挿入されてしまっている。

 

 

キャスト、スタッフ(敬称略)

藤堂俊介:石原裕次郎

岩城創:木之元亮

竹本淳二:渡辺徹

西條昭:神田正輝

 

 

岩城令子:長谷直美

松原直子:友直子

相馬剛:深水三章

黒田実:笹入舟作、七曲署保安課刑事:石山雄大

升本泰造、山本寛、大北:島村卓志、雀荘主人:宮沢元、旅行代理店店員:松田茂樹、東山茂幸、荒木一夫

黒田健三、学生:高瀬将嗣、竹本左和子、森洋二、野川ひとみ

ノンクレジット 空き巣の犯人:柿木恵至、相馬の仲間のチンピラ:星野晃、喫茶店の客:岸本功

 

 

石塚誠:竜雷太

野崎太郎:下川辰平

山村精一:露口茂

 

 

脚本:小川英、尾西兼一

監督:竹林進