第451話「ゴリ、勝負一発!」(通算第661回目)

放映日:1981/4/3

 

 

ストーリー

石塚と西條は現場に到着した後、拳銃の点検をした。

西條は通報について、モデルガンを見て慌てて連絡しただけであると思っていた。

石塚と西條は通報者の男2人と会い、男2人から、若い男1人がヤクザ風の男3人と喧嘩になったこと、4人が路地に行ったことを聞き出した。

拳銃を所持しているのは若い男で、ウェスタンブーツを着用していた。

石塚と西條は3発の銃声を聞き、本物の拳銃であることを確認した後、銃声が聞こえた方向の公園に急行した。

公園内では、ヤクザ風の男3人が背後から銃撃され、即死していた。

西條は、たった3発で3人の男を即死させた犯人の拳銃の腕前を警戒した。

石塚は現場を捜索中、ウェスタンブーツを履いている、古川保(21歳)(鈴木弘道さん)という若者を尾行した。

古川は石塚の尾行に気付き、拳銃を発砲しながら地下街に逃走したが、前方から西條、後方から石塚に挟み撃ちに銃撃され、死亡した。

古川は城南大学経済学部経済学科の学生で、昭和35年(1960年)2月6日生まれであり、新宿区下落合2-8-2に住んでいた。

石塚は西條に、負傷者を応急手当するように指示した。

西條と五代は古川宅を家宅捜索していた。

西條はただの学生の古川が3人も殺人を犯し、さらに3人の心臓をそれぞれ1発で撃ち抜いたことに戦慄していた。

五代は古川宅の棚の中から、大量の予備の銃弾を発見した。

古川宅に置かれていた、銃専門の雑誌のページの間には、古川が海外の射撃場で拳銃を構えた時の写真が挟まれていた。

古川のパスポートには、古川がフィリピンに複数回旅行に行った形跡があった。

石塚は東京都監察医務院にて、監察医(小寺大介さん)から、古川の体内から摘出された銃弾を見せられた。

1発は心臓すれすれのところで正面から命中しており、もう1発は背面から斜めに心臓の中心部に命中していた。

監察医は、古川に致命傷を与えた銃弾がどちらかについては断定できなかった。

古川の両親は四国在住で、父親がホテルの経営者をしており、最初には警察の話を全く信用していなかった。

被害者の3人はチンピラで、近辺で強請りやたかりを繰り返している連中だった。

古川の拳銃には前科が無く、古川が外国の射撃場で使い慣れた拳銃を細かく分解し、持ち込んできたものと推測された。

解剖の結果、古川に致命傷を与えた銃弾が石塚の銃弾であることが判明した。

西條は石塚の射撃の正確さを褒め称えた。

本庁は今回の拳銃使用を全く問題視していなかった。

古川は年に5回、東南アジアツアーに、射撃場を理由に参加していた。

藤堂と石塚は遊びに近い射撃で、あれだけの技術を習得したこと、遊びの域を完全に超えていたことを不審に思っていた。

古川は凶器の拳銃「S&W 357 コンバットマグナム モデル19」を徹底的に使い込んでいた。

この拳銃は威力が絶大だが、照準がほんの少し狂っており、使いこなすのが容易ではなかった。

石塚は若者の間で射撃が大流行で、射撃専門のツアーを組む旅行社もあることから、古川のような異常なガンマニアが他にもいるかもしれないと考えた。

藤堂は捜査員に、古川のツアー仲間と友人関係の捜査を命令した。

石塚は夜道を歩いている途中、有田修一(28歳)(古城和孝さん)という男に尾行され、歩道橋で拳銃を向けられた。

有田は石塚の拳銃の腕前と、石塚の通称がゴリであることを知っており、自分の拳銃の腕前が、走っているカモシカでも逃げられないと冷徹に言い放った。

有田は古川の仲間で、石塚に古川を撃ったもう一人の刑事の名前を教えるように脅迫した。

有田は石塚から、古川を射殺したのが自分であると告げられるも、もう一人の刑事も古川を発砲していることから、激しい恨みを抱いていた。

有田は石塚がどうしても刑事の名前を自白しようとしないため、石塚に拳銃を装備するように促した。

石塚は帰宅中だったため、拳銃を所持していなかった。

石塚は歩道橋の上から、下の道路を走行していたトラックの荷台に飛び降りたが、有田の銃撃で右腕を負傷してしまった。

石塚は有田が自分の名前を知っていることを怪しんだ。

石塚は入院中、山村と岩城と五代に、有田の目的が古川の復讐であること、有田の拳銃がプロフェッショナル好みのモーゼル712であったことを報告した。

山村は、新聞には七曲署の刑事2人としか報道されておらず、署内でも限られた人間しか知らないはずなのに、有田が石塚の古川射殺を知っていたことを疑問に思った。

石塚は、有田に情報源があると仮定すると、西條のことも知られるため、西條に東南アジアの射撃場の調査を担当させるように要請した。

西條は自分が日本での捜査から一時的に抜けることに不満を抱きつつも、野崎に一刻も早く犯人を割り出さなければいけないと説得され、東南アジアに渋々出発した。

石塚は医師と看護婦の、当分の間安静にしないと、傷からまた出血をするという忠告を無視して病院から脱走し、滝が運転する覆面車に乗った。

滝は藤堂の言伝で、石塚に拳銃を渡す代わりに、傷口が開いたり、出血したりした場合にはすぐに病院に戻るように約束した。

滝は古川のツアー仲間、友達からは容疑者が浮かばなかったこと、射撃場に実戦経験者のコーチが複数名おり、急激に拳銃の腕が上達することで有名なことを伝えた。

石塚は若者が外国の射撃場に入り浸り、拳銃の化け物になって帰国すること、暴力団でも手を焼いているのに、そんな化け物が跋扈したら敵わないと嘆いた。

石塚は若月という男のことを思い出し、滝に拘置所に行くように頼んだ。

若月は竜神会幹部の城所を射殺した、響組系の鉄砲玉のチンピラだった。

若月は遠距離から城所の心臓を一発で撃ち抜き、殺害していた。

若月は去年(1980年)までは拳銃に触ったことすらなかったが、事件の数ヶ月前に東南アジアに旅行していた。

七曲署捜査一係は若月の主張通り、偶然に命中したと思い込んでいた。

若月の東南アジア旅行は古川の時期と一致した。

石塚と滝は武蔵野拘置所に赴き、若月(壇喧太さん)と面会した。

若月はあくまで、破れかぶれに発砲したら、城所の心臓に命中したものと主張し、射撃場に関しても無関係であると否定した。

滝は若月に対し、面白半分では20m以上離れた人間の心臓を一発で命中させることが不可能であると指摘した。

若月は石塚と滝に詰問され、響組の矢追支部長が旅費と射撃の特訓費用を出したことで、海外の射撃場で練習をしたことを自供した。

若月は石塚と滝に古川の写真を見せられ、古川の射撃の腕前が抜群であること、古川が射撃に無我夢中で、誰とも付き合わなかったことを話した。

若月は滝に、古川のような者が他にもいなかったかを質問され、有田という男が古川と互角の射撃の腕前を持っているという噂があることを答え、有田が利用したツアーのことを教えた。

石塚と滝は旅行代理店で、有田の身元を特定し、有田のアパートに急行した。

有田は外車のセールスマンだった。

藤堂は石塚に、右手が使えないことを念押しした。

石塚は滝から、銃撃戦を自分に任せるように頼まれ、滝の指示に従うことにした。

石塚はいざというときに備え、左手で撃つ訓練もしていた。

石塚と滝は有田宅の205号室に突入しようとしたが、扉を開けようとした直後、室内から散弾銃が発射された。

有田は紐で散弾銃と扉を付け、部屋の扉が開いた直後、散弾銃が発射する罠を仕掛けていた。

有田は捜査員の突入を予期し、「石塚刑事 せいぜい拳銃の腕を磨いておけ」という内容のメモを、室内のテーブルの上に残していた。

石塚は有田の目的が、拳銃の腕前でトップを争った古川を射殺した石塚を殺害することで、自分の腕前を誇示することであると推理した。

有田は社内でのセールスの成績が常に上位で、人当たりの良さから社内の評判も最高だった。

有田は東南アジアに、年2回長期旅行をしていたが、会社には骨休みとして当然と解釈されており、社内の人間で有田がガンマニアであることを知っている者はいなかった。

有田は日本国内では古川と付き合っておらず、現地の射撃場でもほとんど口をきいていなかった。

野崎は響組支部長を殺人容疑、子分3人を公務執行妨害でそれぞれ逮捕した。

支部長達は最初、黙秘をしていたが、覆面車内で、外国の射撃場に子分を送り込んだのが響組だけではないことを自供していた。

有田は七曲署捜査一係の行動を逐一掴み、行方不明となっていた。

石塚は街中に出て、有田をおびき出そうとしていた。

石塚は左腕で射撃訓練をしていたが、射撃練習場に入った藤堂に、左腕ではなかなかの腕前と褒められた。

藤堂は有田の拳銃と同じモーゼル712を使い、見事、的の中心部に命中させた。

モーゼル712は弾の衝撃力、有効射程距離が共に絶大で、スピードが音速を超えていた。

藤堂は石塚に、左手では有田に勝てないと助言し、練習場を立ち去った。

石塚は銃器室を訪れ、競技用の拳銃「ヘンメリー」を取り出し、装備して有田と対決することを決意した。

銃器室の署員(井上三千男さん)は石塚に、ヘンメリーの装弾数が1発であることを伝えた。

石塚と滝は捜査を開始し、街中を歩いた。

西條が東南アジアでの捜査を終え、日本に帰国した。

有田は石塚と滝が自動車販売店に入っていくのを、向かいのビルの空き室から監視していた。

有田はモーゼル712を組み立て、石塚が自動車販売店を出た直後に狙撃した。

石塚は防弾チョッキを着用していたために無事であり、一旦死亡したふりをした後、狙撃場所のビルに急行した。

石塚と滝はビル内を捜索していたが、有田を見つけられなかった。

石塚は覆面車に戻り、連絡をしに行く滝と別れ、エレベーターに乗った。

石塚は有田が狙撃場所として利用していた空き室に入室し、薬莢を拾った。

有田は乗用車を滝の覆面車に激突させ、滝を動けなくなるほどの重傷を負わせた。

石塚は滝から、有田の罠に乗ってはいけない、負傷した手では運転できないと警告されつつも、一般人の外車を拝借し、有田を追跡した。

西條がタクシーで七曲署に到着し、銃器室で拳銃を装備した。

西條は海外で浮かんだ3人の容疑者を捜査すれば、事件が解決すると思っていたが、署員から、犯人が一昨日から既に判明していることを告げられた。

署員は石塚を心配し、西條に石塚を警護するように要請した。

石塚が西條を海外に出張させたのは、西條を庇い、自分一人で有田の標的になるためと、危険を最小限に抑えて有田を逮捕するためだった。

山村は有田に情報が漏洩していた理由が、無線盗聴であることを突き止めた。

5日前、古川が死亡した日の翌日、北署の覆面車が強奪されていたが、覆面車が無傷で3時間後に発見されていたため、公表されていなかった。

有田は多重無線の波長を読んでいた。

無線機の一部から、有田の指紋が検出された。

藤堂は石塚の危険を察した。

西條は藤堂から、有田が欅通りを北に向かっていることと、2台の乗用車の特徴とナンバーを教えられ、石塚の援護に急行した。

西條は石塚と有田を捜索中、欅通りが河原に続いていることを思い出したが、有田が石塚と拳銃で対決しようとしているのに、河原では人通りが多過ぎると思った。

西條は対決の場所が廃工場か資材置き場かで特定を思い悩んでいる途中、石塚を発見したが、赤信号で追跡できなかった。

石塚は廃車処理場に有田を誘い込んだ。

有田は乗用車の車内から石塚を射殺しようとしていたが、廃車処理場に西條が駆けつけてきた。

西條は古川を射殺したのが自分であると叫び、有田に挑戦を挑もうとしたが、有田が発砲してきた。

石塚は外車を運転し、西條にボンネットに飛び乗らせた。

モーゼル712はスイッチを切り替えることで、機関銃になる代物だった。

石塚は西條が来なかったら死亡していたと言って、西條に感謝した。

石塚はヘンメリーが1発しか撃てないため、有田が1発目を発射して、2発目が装填される瞬間しか迎撃のチャンスがないと考えており、西條に待機を命令した。

有田は石塚に、右手が使えない刑事など雑魚同然と挑発し、あっさり殺害することを決めたと宣言した。

石塚は有田の前に姿を現し、対決を挑んだ。

石塚は有田の発砲を回避した瞬間、有田の拳銃を撃ち落とし、西條に有田を逮捕させた。

石塚は有田が必ず頭を狙ってくると予測し、前方に倒れ、撃った反動で銃口が上がるため、その下ろすまでの瞬間を狙って発砲していた。

 

 

メモ

*マニアックな拳銃が続々登場する、ゴリさんの射撃回。

*ドックが犯人を射殺したのは初めて。

*ゴリさんに対し、「通称ゴリ」と言う有田。この世界では、「ボス」や「ゴリさん」といったニックネームは「通称」ということになっている?

*ゴリさんには注射よりボスへの電話のほうが、効き目がある? もっともその忠告もあっさり無視されたが(笑)

*スコッチは今回も、「拳銃は持てば必ず撃ちたくなる」という、「拳銃を追え!」でも発言していた拳銃への信念を呟いている。

*モーゼル712の銃弾を的の中心部に当てるボス。相変わらずの射撃の腕前を見せる。

*ゴリさんとスコッチの、コンビネーションが冴え渡る。負傷したゴリさんを気遣い、有田の罠には乗ってはいけないと訴えるスコッチが良い。

*スコッチが珍しく、頭から流血するほどの傷を負う。「ボス!!!」の静かなる叫び。

*古川を射殺したのが自分であると叫び、有田と対決しようとするドック。ゴリさんへの気遣いが心地良い。

*スイッチ一つで機関銃になるモーゼル712を使用し、ゴリさんを挑発した割にあっけなくゴリさんに撃たれる有田。敗因はゴリさんの右手の負傷とヘンメリーで油断し過ぎていたことと、自分の腕を過信し過ぎていたことと思える。

*ラスト、「もしゴリさんが撃たれたら次に(有田と勝負するのは)僕しかいないでしょう、だから僕はそこを狙って」と発言するドックに、「そうなったら一係も6人になっていた」とからかうスコッチ。ただ、ドックでも有田に勝てそうな感じはした。

*ラスト、ゴリさんの対決を真似しているドックに対し、「ドック演会(独演会)」と駄洒落を言うゴリさん。

*今回は「スコッチ、市民を撃つ」と同時撮影。

 

 

キャスト、スタッフ(敬称略)

藤堂俊介:石原裕次郎

滝隆一:沖雅也

岩城創:木之元亮

五代潤:山下真司

西條昭:神田正輝

 

 

松原直子:友直子

有田修一:古城和孝(後の古城裕章)

若月:壇喧太、銃器課の署員:井上三千男、古川保:鈴木弘道

中沢優子、監察医:小寺大介、山崎之也、田丸一登

 

 

石塚誠:竜雷太

野崎太郎:下川辰平

山村精一:露口茂

 

 

脚本:小川英、四十物光男

監督:木下亮