第424話「拳銃を追え!」(通算第634回目)

放映日:1980/9/19

 

 

ストーリー

非番の日、西條は街を歩いていたが、その途中で滝の覆面車が駐車されているのを発見し、喫茶店「エルザ館」に入った。

西條は入口で若い女性とすれ違った後、張り込み中の滝を発見した。

滝が張り込んでいたのはバーテンダーの寺沢(信実一徳さん)で、証拠が皆無だったが、複数丁の拳銃を所持している容疑があった。

滝は入口ですれ違ったのが、知り合いの音楽大学の生徒で、刑事に興味があると嘘をつき、西條を協力させた。

滝と西條は、仕事を終え、店を出た後に黄色い乗用車に乗る寺沢を尾行した。

寺沢はアタッシェケースを携え、建物の中に入っていった。

滝は西條と一緒に建物の中に入り、拳銃を構え、西條に室内に置かれていたボウリングのピンを持たせた。

寺沢は根本(荻原紀さん)という男と拳銃取引をしていたが、逆に根本に射殺された。

滝は西條に部屋のブレーカーをつけさせ、根本に銃口を向けた。

根本は迫っていく滝に銃口を向け、拳銃を発砲したが、銃弾が滝に命中させず、滝に拳銃を蹴り飛ばされた。

滝は根本を組み伏せ、逮捕した。

寺沢は既に死亡していた。

根本の拳銃は寺沢のアタッシェケースの中に入っていたものであり、アタッシェケースの中身は空だった。

滝が根本に接近したのは、拳銃がコルトリボルバー45口径という大型のもので、根本の腕なら5mまで接近しても問題ないと確信したからだった。

根本は寺沢と「エルザ館」で顔見知りになり、拳銃の話を持ち出されていた。

根本は拳銃1丁と弾丸5発を購入し、合計60万円となったが、あてにしていた金が手に入らなかったため、拳銃だけを強奪しようとして、寺沢を射殺してしまった。

根本が拳銃を購入した動機は、銀行強盗をするつもりだったからだった。

寺沢の拳銃は、根本が強奪したものが最後の1丁だった。

寺沢の預金通帳を調査した結果、寺沢が3丁のコルトリボルバー45口径を売り捌いていることが判明した。

寺沢の預金通帳には60万円が3回、振り込まれている形跡があった。

寺沢は競馬や競輪もやらず、他に収入源もなかった。

寺沢はここ2年間に数回、東南アジアに旅行しており、その間に拳銃を密輸したものと思われた。

藤堂は捜査員に、「エルザ館」の客のリストアップを命令した。

「エルザ館」の元常連客の修理工は滝と西條に、行く店を変えたので「エルザ館」には行っていないこと、同僚の前島が最近仕事を休んでいることを話した。

前島は以前、何者かと喧嘩し、かなり荒れている様子だった。

滝と西條は前島宅に入ったが、前島が不在だった。

前島宅の机の上では、2丁目のバー「あざみ」のホステス、藤野京子(康有羅さん)の写真がバラバラに切り裂かれていた。

滝は前島宅の床に弾痕を発見し、45口径の銃弾をくり抜いた。

藤野はビリヤード場にて、滝と西條に前島が狙っていると警告されても、全く怖れていなかった。

藤野の新しい恋人は、戸川組の兄貴分の石中進だった。

滝は前島が石中に藤野を奪われ、10日前に殴られていることを突き止めた。

藤堂は滝に、竹原という男が滝に会いたがっていたことを無線連絡し、石中と藤野の張り込みを五代に担当させた。

滝は公園にて、竹原から、1週間前に新宿のバー「ドレスデン」で、寺沢が顔中に付け髭を付けた、サングラスの男と話していたという情報を得た。

寺沢は以前、俳優をしていたことがあったが、そのことを隠していた。

寺沢の俳優時代の仲間には、今活躍中の俳優も何人かいた。

「ドレスデン」のバーテンダーは滝と岩城に、寺沢と話していた男が俳優の立花竜二だったことを伝えた。

滝と岩城は立花(倉石功さん)と面会した。

立花は「ドレスデン」に行ったことも否定し、寺沢とは10年以上会っていないと述べた。

立花は滝から拳銃が好きかどうかを質問され、頻繁に映画で使用するために興味があること、外国に行ったときはスタジオで本物の銃を試射することを答えた。

立花はあくまで道楽であり、人を撃ちたいとは思わないと強調した。

滝は立花に拳銃を突き付け、拳銃が遊びや道楽で済むものではなく、持てば人を撃ちたくなり、殺したくなると忠告し、立花から頻繁に人を撃ちたくなるのかと尋ねられると、それを認めた。

立花は拳銃を購入したことを否定した。

滝と岩城は野崎に立花の張り込みを任せ、立花のマンションを立ち去った。

西條と五代は石中と藤野を警護していたが、石中と藤野の前に前島(壇喧太さん)が立ち塞がり、拳銃を突き付けた。

前島は石中と藤野を射殺しようとしたが、石中と藤野に発砲を回避された。

西條と五代は逃走する前島を追跡した。

前島は資材置き場に隠れた。

西條は五代のもとに駆けつけ、滝の、5mまでなら当たらないという確信のもと、前島に向かって突撃した。

前島の発砲は西條の足元に命中し、危なく被弾するところだった。

滝は岩城と一緒に西條と五代のもとに駆けつけ、西條から前島が既に2発撃ったことを聞くと、発砲を回避しながら前島に接近した。

西條と岩城と五代も、発砲を回避しながら前島に接近した。

前島は拳銃の銃弾を撃ち尽くし、自分に迫った滝に拳銃を奪取され、台尻で殴られた。

前島は絶叫し、西條と五代に逮捕された。

チンピラがぶつけられた男に因縁をつけようとしたところ、男に45口径の拳銃で射殺される事件が発生した。

被害者のチンピラは近辺で粋がっている男で、即死だった。

目撃者の話では、チンピラが犯人と肩が触れ合ったのが原因だった。

目撃証言によると、犯人の男は20代で、流行りの派手なシャツを着用していたが、「エルザ館」の常連客の中にはいなかった。

犯人の男が寺沢の拳銃密売を知っていた理由が問題点となった。

藤堂は捜査員に、リストの再チェックを指示した。

若者が石塚に、前に「エルザ館」で拳銃図鑑を見てから、寺沢に冗談半分で拳銃を購入しないかと持ち掛けられたことを告白した。

若者は拳銃のことを、原宿のゲームセンターで知り合った相原哲夫(二又一成さん)という男に話していた。

滝と岩城は原宿の若者のグループに接触し、相原の居場所を尋ねた。

相原は今日、グループには参加しておらず、仲間もお互い干渉しないのがモットーであるため、相原の居場所を知らなかった。

相原は横浜出身で、世田谷のスーパーマーケットにて勤務していた。

滝と岩城は、藤堂から相原の住所が西新宿であるという連絡を受けた。

相原は今日、職場のスーパーマーケットを無断欠勤していた。

相原の同僚によると、相原は日曜日には頻繁に休んでいたが、無断欠勤をしたことはなく、気が小さい性格だった。

滝と岩城は相原の母親(高橋和枝さん)から話を聞いていた。

相原の母親は相原がスーパーマーケットに行っているか、踊りに行っていると信じており、どこに行こうが構わないという態度をとった。

滝は相原の母親に無断で、相原の部屋を捜査した。

相原の母親は、相原が気の優しいいい子であると信じており、何かの間違いであると号泣した。

滝と岩城は相原宅から何かを回収し、相原の写真を拝借した後、藤堂から、横浜旭町の中古車販売店「横浜トヨタ港北マイカーセンター」が拳銃強盗に襲撃されたという無線連絡を受けた。

強盗犯はパトロールカーが駆けつけたことで籠城しており、45口径の拳銃を使用していた。

滝と西條と岩城と五代は横浜トヨタ港北マイカーセンターに急行し、警官隊の指揮を執っている、港南署の高田刑事(新田昌玄さん)と合流した。

強盗犯は若い男という以外、情報が不明な状態で、店の主人と女事務員を人質に取っていた。

強盗犯は既に3発発砲しており、残り2発だった。

高田は岩城と五代に、事件が港南署の管内であるとして、何が起きても責任を取らないと釘を刺した。

滝と西條と岩城と五代は乗用車の陰に隠れ、強盗犯の発砲を回避しながら、店に接近していった。

強盗犯は岩城の威嚇射撃に動揺し、残り1発を発砲した。

滝は強盗犯が拳銃の弾を撃ち尽くしたと思い、窓を破って店内に突入した。

強盗犯はさらに滝に向けてもう1発発砲していたが、滝に拳銃を撃ち落とされ、逮捕された。

強盗犯の拳銃は、寺沢が売り捌いたものではなかった。

高田は強盗犯の身柄を送致し、刑事や警官隊と一緒に立ち去った。

滝は西條と岩城と五代に、七曲署に戻るように促し、港南署を訪れていた。

高田は捜査係長(相沢治夫さん)に、強盗犯が金に困ったチンピラであり、自供したことを報告した。

滝は高田が、他署の自分達の捜査を許可したことから、相原が横浜に潜伏していると断定していた。

高田は強盗犯を逮捕してもらった礼として、滝に署の屋上にて、自分が情報屋として利用している老人の青木から、昼頃に電話が入ったことを打ち明けた。

電話の内容は、山下公園で挙動不審な若い男を見たというものだった。

高田は滝から相原の写真を見せられ、高田の上着が黒っぽいジャンパーだったが、人相と背格好が似ていることを話した。

青木は、ベンチに座りおどおどして、人の目を恐れている態度の相原に、追跡されているのかと話しかけ、今夜に黄金町のスナック「キュー」に行くように頼んでいた。

「キュー」はただのスナックだった。

高田は青木について、叩けば埃の出る情報屋だが、自分をひどく恐れているため、真実であると信じていた。

滝は男が相原かどうかを確認するため、青木と会うことを決めたが、高田から、金のためなら何でもする男であると忠告された。

滝は中華料理屋にて、青木(二見忠男さん)と面会した。

青木は相原の写真を見て、会った男が相原であるとはっきり証言し、酒をおごるように求めた。

青木は高田に対し、人を脅かすことしか考えていないと思っており、真実の情報を教える気などなく、「キュー」の件も偽情報だった。

青木は滝から情報料を手渡され、吉浜町の川沿いにて、ラーメンの屋台を経営する、陳(兼本新吾さん)という男のことを教えた。

陳は夜には山内埠頭に場所を移動するが、逃がし屋の窓口であり、金さえ持って来れば、外国に密出国させる男だった。

相原が陳のもとに現れる確証はなかったが、港南署が「キュー」を万全の張り込みをしていたため、滝は陳を張り込んでいた。

陳はラーメン屋の屋台を山内埠頭に移動していた。

五代が滝のもとに応援に駆けつけ、中華饅頭を差し入れた。

陳は相原と接触せず、普通にラーメンの屋台の商売をしていた。

夜、滝は西條と一緒に陳を張り込んでいた。

西條はハードボイルドな滝が、真偽不明の情報で食い下がっていることが信じられなかった。

滝の目的は、ただ拳銃を押収することだった。

夜、覆面をしていた男がサラリーマン金融を襲撃し、200万円を強奪する事件が発生していた。

滝と西條は相原が陳と接触しているのを目撃し、密かに接近していった。

相原は陳に情報料を手渡した直後、滝を発見し、逃走した。

滝は資材置き場にて拳銃を装備し、わざと自分の靴を相原のほうに投げ、相原を挑発した。

滝は資材の上から相原に向かって飛び降り、相原の拳銃を放り投げ、銃口を突き付けた。

相原は観念し、号泣した。

押収されていない拳銃は残り1丁だった。

滝と西條は一係室に入る直前、山村と野崎と石塚に連れられている立花とすれ違った。

立花が残り1丁の拳銃を所持していたが、滝の発言が骨身に染み、自首していた。

 

 

メモ

*「追跡!拳銃市場」、「ゴリラ」、「ゴリさんが拳銃を撃てなくなった!」のように、刑事が街中に拳銃が流れるのを阻止する回。

*非番の日、偶然に張り込み中のスコッチを発見し、「張り込み!?」と大声を立ててしまうドック。

*非番の日という理由でやる気がなかったドックだが、スコッチに音大生の女性を紹介すると言われると、俄然やる気になる(笑)。

*「運転中は前を見ろ」byスコッチ。

*「女子大生 50年後にはおばあちゃん」、「一度の勇気が君の未来を春にする」など言ったことで、スコッチに「静かにしないと(音大生を)紹介しない」と注意されるドック。

*寺沢が取引して射殺される建物は、中にボウルやピンが置かれていたことから、廃ボウリング場?

*どうみても5m以内に接近しているが、結局スコッチに当てられなかった根本。腕が悪すぎ?

*情報屋に優しいスコッチ。青木にも「酒はほどほどに」と優しく促す。

*「拳銃を持てば人を撃ちたくなる、殺したくなる」というスコッチの拳銃への哲学がかっこいい。

*藤野と石中のデートを「納豆ととろろ芋のデート」と例えるドック。

*「(スコッチが)何を考えているかスコッチ(少し)も分からない」と愚痴るドック。

*「行くぞ、スリッパ」(ドック)、「OK、ヤブ」(スニーカー)

*スコッチが原宿の若者のグループに接近するシーンで、YELLOW MAGIC ORCHESTRAの 『RYDEEN』が流れている。

*スコッチが中古車販売店の窓を割るアクションが華麗。

*情報屋役がぴったりな二見氏。「タレコミ屋には健康保険がない」と漏らす。

*スコッチにシュウマイを食べないかと勧めるも、断られ、「ほんとに可愛くない」と愚痴るドック。

*ラスト、ドックに音楽大学生を紹介するように言われるスコッチ。しかし、嘘であった。

*「音大生」と聞いて、顔をムッとさせるナーコ。

*倉石氏は『太陽』唯一の出演だが、出番は少ない。

*ボスの知り合いには音楽大学生はいないらしい。スコッチの「ごめん」が完全にギャグテイストで、前期に着任していた時には想像もつかないような明るい表情を見せた(笑)。

 

 

キャスト、スタッフ(敬称略)

藤堂俊介:石原裕次郎

滝隆一:沖雅也

岩城創:木之元亮

五代潤:山下真司

西條昭:神田正輝

 

 

松原直子:友直子

立花竜二:倉石功

高田刑事:新田昌玄、相原の母親:高橋和枝、陳:兼本新吾

青木:二見忠男、相原哲夫:二又一成、寺沢:信実一徳、前島:壇喧太、港南署捜査係長:相沢治夫、藤野京子:康有羅、赤出川浩道、猪野剛太郎

永田伸介、丸山秀夫、菊地康二、歌川秀夫、垣内隆

ノンクレジット 根本:荻原紀、港南署刑事:柿木恵至

 

 

石塚誠:竜雷太

野崎太郎:下川辰平

山村精一:露口茂

 

 

脚本:小川英、尾西兼一

監督:山本迪夫