第422話「令子、俺を思い出せ!!」(通算第632回目)

放映日:1980/9/5

 

 

ストーリー

岩城と令子(長谷直美さん)は非番の日、双葉写真館で結婚記念の写真を撮影していた。

岩城と令子は、ヘロイン中毒者の男(桑原一人さん)がライフルを乱射し、狂乱している現場に遭遇した。

令子の通報を受け、西條と五代が現場に出動した。

中毒者の男は岩城に追跡されると、喫茶店「BRUGGE」のウェイトレスを突き飛ばし、店内に籠城した。

店内には若者のカップルと、中年のサラリーマンと、店のマスターの4人がいた。

令子は野次馬を避難させた。

西條はウェイトレスから、店に裏口があることを聞くと、裏手に回れば中毒者の男だけ狙えると考えた。

午後1時58分、西條は自分と一人が表門から威嚇射撃し、もう一人が裏口に回り、表門の2人が威嚇射撃をしている隙に、裏口の一人が店内に飛び込むという作戦を立てた。

岩城は西條から拳銃を借り、率先して裏口に回った。

午後2時、西條と五代が威嚇射撃を開始し、岩城がその隙に裏口から店内に突入し、中毒者のライフルを撃ち落とした。

中毒者は西條と五代に逮捕された。

令子は無事に店内から出てきた岩城を見て安堵した。

負傷者はいなかった。

中毒者は救急車に搬送された。

石塚は西條と岩城と五代に、若手3人のスピード解決と褒めた。

中毒者のズボンのポケットから、少量のヘロインが検出された。

しかし、そのヘロインは純度100%のヘロインではなく、混ぜ物入りの粗悪なものだった。

中毒者は完全な精神錯乱だが、中毒者の体調によってはショック死もあり得る危険なものだった。

中毒者はとても尋問できる状態ではなく、売人の名前を聞き出すことができなかった。

藤堂は捜査員に、管内のヘロイン中毒者の徹底的な捜査を命令した。

ヘロイン中毒者の女性がショック死する事件が発生した。

ヘロイン中毒者のチンピラが狂乱し、ナイフを振り回していたが、滝と岩城に組み伏せられて逮捕された。

東京都内及び近郊の、3日間のヘロイン中毒犠牲者はショック死が2名、精神錯乱が3名という状態だった。

チンピラや失業者がヘロインを入手しており、情報ではダンピングして売られているようだった。

昨日に逮捕された中毒者のチンピラの回復が早く、滝に、混ぜ物入りヘロインの売人が、以前に七曲署管内に潜伏していた高岡栄(沖田駿一さん)であることを自白した。

高岡は行方不明となっており、指名手配を見越して、自宅アパートにも全然帰宅していなかった。

岩城は自宅で夕食を食べている時も、令子の話を聞かず、高岡の写真に集中していた。

令子は誤って茶をこぼしてしまい、高岡の写真を濡らしてしまった。

岩城夫妻の結婚写真は明日、完成することになっていた。

翌朝、令子は同僚の婦警(藤沙千子さん)と一緒に双葉写真館に向かう途中、駐車違反の乗用車を発見した。

乗用車の車内では、高岡が中光商事の柳田社長(福山象三さん)と密会をしていた。

高岡はショック死した者が出たため、ヘロインの販売に否定的だった。

柳田は中毒者の8割に異常が無かったという理由で、全て売り尽くすように命令した。

柳田と高岡は令子に声掛けされた直後、乗用車「品川57 に-4891」を発進し、逃走した。

令子は同僚の婦警を置いて、単独でミニパトロールカーを運転し、柳田と高岡を追跡したが、踏切で見失ってしまった。

令子は資材置き場でミニパトロールカーを降りたが、降りた直後に高岡の乗用車に轢き逃げされた。

高岡は、資材置き場にパトロールカーが駆けつけたため、逃走した。

岩城は藤堂から、令子が矢追警察病院に搬送されたという連絡を受け、急行した。

令子は事故によるショックで記憶を喪失してしまい、自分が誰なのかも分からない状態となってしまった。

石塚は激情する岩城を落ち着かせた。

柳田と高岡が運転していた白い乗用車の所有者はバーの経営者で、現在海外旅行中だった。

その乗用車を経営者の留守中に借りたのが、高岡だった。

婦警は藤堂達に、令子がただの駐車違反を追跡しているような状態ではなかったことを報告した。

山村は令子が高岡の顔を知っていたため、夢中になって追跡し、命を狙われたのではないかと推測した。

婦警の証言で、乗用車の中に、高岡と卸元と思われる二つの人影がいたのが判明した。

看護婦が、令子の親戚と名乗る、高岡の部下(二家本辰巳さん)に、令子の病室が303号室であること、記憶喪失であることを漏らしてしまった。

石塚は、高岡の馴染みのヤクザの奥寺を別件で逮捕したが、何も自白しなかったため、明日に釈放することにした。

白い乗用車は河原に乗り捨てられていた。

車内からは指紋が検出されず、運転者が高岡であるという証拠が皆無だった。

岩城は藤堂に、高岡達が令子の記憶喪失を知って安心していることを報告し、もしも令子の記憶が戻りつつあるとしたら、必ず令子を狙うため、そこから事件の糸口が分かるのではないかと意見した。

岩城は藤堂に、令子を囮に使うことを提案したが、一係の人間でない者を危険な目に遭わせるわけにはいかないとして、退けられた。

岩城はヘロイン中毒者が倒れていくのを食い止めるにはこの手段しかないと強調したが、却下された。

石塚は岩城に、犯人が高岡であることは確定している以上、必ず見つけ出すと諭した。

令子は岩城から、婦警であること、1ヶ月前に結婚したことを告げられたが、かえって混乱するばかりだった。

診療の時間となり、令子は看護婦に連れ出されたが、リネン庫に潜んでいた、高岡の部下(団巌さん)にナイフを突きつけられた。

岩城は高岡の部下のナイフを段ボールで薙ぎ払い、高岡の部下を叩きのめして制圧した。

高岡の部下もヘロイン中毒者だった。

滝と五代がリネン庫に急行し、部下を逮捕した。

岩城は今朝に釈放された奥寺に、高岡をおびき出すため、令子の記憶が戻り掛けていると伝えていた。

滝と五代は岩城の行為を非難した。

令子は岩城に囮に利用されていることを知り、激しく混乱した。

岩城は藤堂に、勝手なことをしたことを謝罪しつつ、令子が記憶喪失でなければ、自分から進んで囮になったはずである、そういう性格であると意見した。

五代はそのために生命を賭けるのは反対であることを伝えた。

藤堂は捜査員全員で令子を警護することにした。

石塚は令子を警護中、病室の窓から、向かいのビルから高岡の部下(三重街恒二さん)がライフルで発砲するのを発見し、狙撃を回避した。

石塚は西條と五代と一緒に向かいのビルに急行した。

その直後、偽医師(吉良冬太さん)が手薄となった令子の病室に入り、令子に拳銃で射殺しようとした。

ベッドに隠れていた岩城が偽医師の拳銃を撃ち落とした。

逮捕された2人は2人ともヘロイン中毒者で、ヘロイン欲しさに高岡に操られていた。

高岡はヘロインが欲しいが、金が無い者を利用していた。

石塚は令子にとって囮作戦が逆効果で、怯えれば怯えるほど記憶を取り戻すことを拒んでいるのではないかと考えていた。

藤堂の考えは令子も警察官であり、岩城と一緒にそれを信じたいというものだった。

令子は岩城を恐れ、激しく拒絶したが、岩城が慌てて零した花瓶の水を拭くのを見て、断片的に思い出した。

岩城は令子に、高岡の写真に茶を零して拭いたことを告げた。

令子は何も思い出せず、岩城を拒絶し続けた。

西條は岩城に、記憶など戻らなくてもいい、もう一度2人で惚れ直すようにと助言した。

五代は令子に、岩城と令子が写っている写真、一係と交通課の親善旅行の写真、岩城と令子の結婚写真を見せた。

五代は令子に、岩城が令子を愛しているからこそ、令子を囮にした、自分も岩城も一係の仲間もみんな令子のことが好きであると諭した。

令子は岩城と会い、どうしても記憶を取り戻したいために、自分が記憶を喪失した場所に連れて行くように頼んだ。

令子は岩城や一係捜査員が自分を守ってくれると信じていた。

岩城は令子に制服を着せ、一緒にミニパトロールカーで矢追警察病院を出発した。

岩城は令子が駐車違反のチェックをしていた地点に連れて行き、高岡の写真を見せた。

令子は記憶を取り戻さなかった。

高岡は令子のミニパトロールカーを見て、行動を開始した。

岩城は資材置き場に令子を連れて行き、そこで高岡に轢かれたと説明した。

令子は記憶を取り戻さなかった。

高岡の部下2人(戸塚孝さん他)が岩城と令子を狙い、それぞれライフルと拳銃を発砲してきた。

石塚、西條と五代は高岡の部下のライフルと拳銃を撃ち落とした。

高岡の部下が銀色の乗用車を運転し、岩城と令子を轢こうとしたが、岩城にタイヤを銃撃され、乗用車が横転した。

部下は乗用車を出たところを滝に蹴り飛ばされ、岩城に逮捕された。

令子は何も分からない状態だった。

岩城は令子と一緒に帰宅し、高岡の写真に茶を零した場面を再現した。

令子は遂に記憶を取り戻し、駐車違反の取り締まり中に、高岡がヘロイン取引しているのを目撃したと証言した。

柳田は山村と岩城に高岡の居場所を質問され、誤魔化した。

柳田は白い乗用車の所有者の経営するバーで、高岡と一緒によく酒を飲んでいた。

山村は柳田に、令子にヘロイン取引の現場を目撃したこと、令子が全て記憶を取り戻したことを告げられた。

柳田は岩城に逮捕された。

柳田はホテルに高岡とヘロインを隠し、あと10日でヘロインを売り捌くつもりだった。

 

 

メモ

*令子が記憶喪失となってしまう。

*結局、岩城夫妻は結婚式を挙げなかったようだ。

*非番の日に結婚写真を撮影したことに素っ気ない態度をとったことで、「女っていうのは花嫁衣装を着て結婚式を挙げたいものなの。子供が大きくなって、結婚写真を見たいって言われたとき、そんなことありませんって言える」と言って怒る令子。しかし、ロッキーがおいしいアイスクリームを売っている店があるから行こうと言うと、すぐに笑顔を取り戻す令子(笑)。ロッキーは「負けているな、しっかりしろ」と自虐(笑)。

*サブタイトルは真ん中に表示されることが多いが、今回は岩城夫妻の結婚の写真をバックに表示されるためか、下側に表示されている。

*「(ウェイトレスから人質の数を聞いて)4人か、麻雀ができるな」、「無鉄砲じゃない、鉄砲持っているよ」byドック。今回もトークが冴えまくり?

*ロッキーがドックのオートマチックの拳銃を使用。

*スコッチの、覆面車のドアの飛び越え方が格好良過ぎる件。

*福山氏と沖田氏は「父親ブルース」でも共演している。

*「ロッキー刑事のテーマII」をバックに、柳田と高岡を追跡する令子。

*令子は24歳。(1956年か1955年生まれ)

*「令子と1ヶ月前に結婚した」と発言するロッキーだが、放映では2週間しか経っていない。劇中ではそれ以上の時間が経っているのかな?

*麻薬撲滅のために、危険過ぎる賭けに出るのは「ダーティなゴリ」を思い出す。(同じ尾西氏の脚本)

*「もう一度2人で惚れ直すように」と助言するドック。ここ一番で格好いいところを見せる。

*一係と交通課の親善旅行の写真。ナーコはスコッチとドックと一緒に写っている。

*沖田氏、福山氏の出番はかなり少なめ。高岡の逮捕シーンはカットされた?

*ラスト、ロッキーの結婚写真を見て「『猿の惑星』だな」とコメントするボス(笑)。

 

 

キャスト、スタッフ(敬称略)

藤堂俊介:石原裕次郎

滝隆一:沖雅也

岩城創:木之元亮

五代潤:山下真司

野崎太郎:下川辰平

 

 

岩城令子:長谷直美

松原直子:友直子

高岡栄:沖田駿一(後の沖田峻一郎)、柳田社長:福山象三、七曲署交通課婦警:藤沙千子、偽医師:吉良冬太(後の久米じょう)

ヘロイン中毒者の男:桑原一人、吉田太門、山田京子、高岡の部下:団巌、高岡の部下:三重街恒二

佐藤文紀、三宅悦子、ヘロイン中毒者?:青柳文太郎、斉藤徳子、高岡の部下:戸塚孝

ノンクレジット 高岡の部下:二家本辰巳、柳田の部下:星野晃

 

 

石塚誠:竜雷太

野崎太郎:下川辰平

山村精一:露口茂

 

 

脚本:小川英、尾西兼一

監督:竹林進