第420話「あなたは早瀬婦警を妻としますか」(通算第630回目)

放映日:1980/8/22

 

 

ストーリー

岩城は早瀬(長谷直美さん)と一緒に街を歩いていた。

一係室に矢追町2丁目の椿マンション305号室の三井宅にて強盗事件が発生したという通報が入り、捜査員が急行した。

住人の三井は山村と五代に、深夜午前3時頃に男にナイフを突きつけられ、手をロープで拘束されたこと、男が室内を物色し、引き出しから現金30万円を強奪して逃走したことを説明した。

三井は男がサングラスをしていたため、顔を分からなかったと述べた。

西條はやたら室内を物色しているため、素人の犯行と判断した。

野崎は犯人がベランダを伝い、窓ガラスを円形に切って室内に侵入している形跡があることから、常習犯の犯行と推測した。

今朝の午前5時頃、椿マンションの住人の主婦が、横から急発進して出ていく乗用車を目撃していた。

乗用車は赤のハードトップで、フロントバンパーにフォグランプが付いていた。

山村は石塚と滝に、乗用車の行方と、盗難車と常習者の洗い出しを指示した。

山村は三井を不審に思った。

西條は七曲署交通課で盗難車の調査をして、マンションから急発進したハードトップを特定した。

五代は岩城の結婚について、一係最初の結婚であると喜んだ。

早瀬は岩城を食事に誘い、午後6時に「プレイバッハ」で待ち合わせる約束をした。

手配した盗難車が曙町の空き地で発見され、車内から小池亮二(26歳)の指紋が検出された。

椿マンションの前のタイヤ痕が盗難車のものと一致し、小池が犯人であると断定された。

小池は矢追町2丁目旭荘201号室に住んでおり、強盗の前科があった。

西條は岩城と五代と一緒に旭荘に急行し、五代に、自分と岩城が表門に行くので、裏手に回るように指示した。

西條と岩城は201号室に突入したが、小池が不在だった。

山村は三井の会社の同僚に複数回接触し、三井が現金ではなく他の物を強奪されているのではないかという推理を話し、それを知っていて隠すと偽証罪になると警告した。

三井の同僚は山村に、三井が1ヶ月前に会社の出張で東南アジアに飛んだ際、フィリピン製の拳銃を購入し、日本に密かに持ち込んだことを自白した。

野崎と石塚は三井と面会をしていた。

三井はあくまで30万円だけが強奪されたと主張し続けていたが、野崎と石塚にフィリピン製の密造拳銃のことを話題に出されると、激しく動揺した。

西條と岩城と五代は藤堂から、小池が拳銃を所持している可能性が浮上したため、逮捕に十分注意するようにという無線連絡を受けた。

早瀬は「プレイバッハ」で岩城を待ち続けていた。

午後7時10分、岩城は五代から、早瀬に電話をするように勧められたが、張り込み中というのを理由に断った。

西條達は帰宅する小池を発見した。

小池は西條に拳銃を突き付けられ、旭荘の階段を上って逃走したが、向かいのアパートの岩城に前方から銃口を向けられたため、部屋に入った。

小池は部屋の窓から下に飛び降りたが、五代に殴り倒され、逮捕された。

小池は野崎と滝に取り調べられていたが、現金30万円だけを強奪したと主張した。

野崎と滝は強盗に拳銃所持が加わると、懲役が5年以上になると忠告した。

小池宅からは拳銃が発見されなかった。

野崎と滝はさらに、小池の拳銃が強奪され、犯罪に利用された場合には、小池も罪になること、殺人事件になった場合には懲役10年以上になると厳しく忠告した。

小池は飲み屋で2,3度同席した男から、三井宅にある拳銃を強奪するように、100万円で依頼されたことを自供したが、男の名前については知らなかった。

三井は会社の同僚と数人の友人に、持ち込んだ拳銃を見せていた。

岩城は出勤時、不機嫌な早瀬に謝罪し、食事の約束をしたが、すっぽかされたことを理由に断られた。

早瀬は岩城に、いつまでもこのままでいるつもりなのかと不満を募らせた。

小池に拳銃強奪を依頼した男のモンタージュが完成したが、前科者に該当者がおらず、三井にも心当たりがなかった。

藤堂は捜査員に、三井の拳銃のことを知っていた人物の調査を命令した。

三井の拳銃のことを知っていた人物に、不審な人物はいなかった。

山村は三井を取り調べ、三井に、他に拳銃のことを知っていた人物がいなかったかを質問した。

三井は自分に拳銃を販売した人物が日本人であることを新たに自供した。

山村は入国管理局に三井を連れて行き、1ヶ月間の東南アジア旅行者のリストを手渡した。

岩城は野崎と一緒にラーメン屋で食事中、刑事が仕事と家庭を両立するものなのかを相談した。

野崎は自分を含む多くの刑事や警察官が仕事と家庭を両立させていること、人間の生死は神のみぞ知るで、それを考えて人生を歩くのが間違っていると助言した。

三井がリストを漁った結果、三井に拳銃を販売した男が、宮坂不動産社員の本山弘(堀勉さん)であることが判明した。

旅行者の中には、宮坂不動産社長の宮坂四郎(深水三章さん)という男もいたが、宮坂の顔がモンタージュの男と酷似していた。

宮坂は既に拳銃を入手していた。

本山は不動産会社で、宮坂に航空券を手渡した。

宮坂と本山は明日に何かを計画していた。

野崎と岩城は藤堂からの無線連絡で、宮坂と本山のことを知った。

野崎と滝と岩城と五代は宮坂不動産の事務所に突入したが、無人だった。

宮坂不動産2階の事務室には、慌てて夜逃げをしたような形跡があった。

岩城は出発予定日が8月18日となっている旅行券を発見した。

宮坂不動産は2年連続の赤字で、倒産寸前の状態だった。

宮坂は不動産屋の土地が借り物だったため、宮坂自身の財産が何も無く、金に困っていた。

宮坂は3日前、街の金融業者から150万円を借り、小池に100万円を手渡していた。

宮坂と本山は何が何でも安全に拳銃を持ち込むことを計画しており、拳銃を扱う犯罪を企んでいるものと推測された。

滝は宮坂と本山が、一昨日の午前7時に出発する東南アジアのツアーに参加することを突き止めた。

藤堂は捜査員に、宮坂がどこを狙っているのかを大至急割り出すように命じた。

会社社長(相原巨典さん)は野崎と石塚に、宮坂と取引があったが、莫大な額ではないこと、宮坂が時々会社に来ていたが、本山のほうが会社に詳しいことを話した。

社長によると、本山はかつて警備会社に勤務していた。

本山は銀行やスーパーマーケットの銀行輸送の警備を担当していた。

日曜日に拳銃1丁で銀行を襲撃することは不可能であるため、宮坂と本山が、日曜日の売上金が莫大な額になる大手スーパーマーケットの現金輸送を襲撃するのではないかと考えられていた。

本山が現金輸送の警備を担当していた大手スーパーマーケットは、矢追スーパー、ローエンス、オリエントの3社だった。

藤堂は山村と野崎と石塚に、3社のスーパーマーケットの現金輸送ルートの確認を命令した。

石塚と西條が矢追スーパー、野崎と滝がローエンス、岩城と五代がオリエントの現金輸送の警備を担当することが決定した。

各捜査員は各スーパーマーケットの従業員として、現金輸送車に乗り込むことが決定した。

宮坂の乗用車はグレーのセダン「品川58 さ 4064」だった。

早瀬が一係室を訪れた。

藤堂は早瀬に、岩城が煮え切らないのは、早瀬に対する態度が決まらないからではなく、大切な花を危険な場所に置きたくないという思いからであること、一係の仕事がかなり殺伐であることを伝えた。

早瀬は自分が花ではなく、岩城と一緒だったら何が起こっても怖くないと思っていることを話し、藤堂から、岩城自身が生きていくのに必要な人間が誰かが分かるときまで待つように頼んだ。

岩城と五代はオリエントの、日曜日の午前3時までの売上金6000万円を積んだ現金輸送車を運転し、オリエントから出発した。

現金輸送車の前方に、本山が運転する茶色のダンプカーが立ち塞がり、現金輸送車の後方からは宮坂が運転するセダンが突撃してきた。

宮坂と本山は岩城と五代に拳銃を向け、降車するように脅迫した。

本山は輸送車の車内から現金が入ったアタッシェケースを取り出し、大喜びした。

岩城と五代は宮坂に、輸送車の荷台の中に入るように強要されたが、扉を開けた直後に宮坂の拳銃を蹴り飛ばし、拳銃を取り出した。

しかし、子供が宮坂の拳銃を拾ってしまった。

宮坂は子供から拳銃を奪い取り、子供を人質に取った。

宮坂は子供を放り捨て、本山と一緒にセダンに乗ろうとした。

五代は本山の右足に発砲し、本山がセダンに乗るのを阻止し、逮捕した。

宮坂は単独でセダンを運転し、逃走しようとしたが、岩城の発砲で負傷し、一時的に停車した。

岩城はその隙に、セダンのルーフラックに飛び乗った。

宮坂は甲州街道を?方面に逃走していた。

早瀬は岩城の身を案じた。

岩城は拳銃の台尻でセダンの屋根を何度も叩いた。

宮坂はルーフラックの上の岩城目掛けて発砲したが、回避された。

岩城は拳銃の台尻で窓を割った。

宮坂は混乱し、セダンが土管置き場のドラム缶に衝突し、停止した。

岩城はセダンが急停車したことにより、屋根から振り落とされ、ドラム缶に頭部を強打し、拳銃を落としてしまった。

宮坂は岩城に発砲し、岩城を追い詰め、嘲笑した。

岩城は絶体絶命の危機に陥ったが、脳裏に早瀬のことを思い浮かべ、死にたくないという思いを燃やし、宮坂に突撃した。

岩城は宮坂の発砲で右頬にかすり傷を負ったが、宮坂を格闘で叩きのめした。

土管置き場に石塚と西條と五代が駆けつけ、宮坂を叩きのめす岩城を制止した。

岩城は宮坂を逮捕した。

五代は交通課で、早瀬が昨日付で岩城のアパートに転居したことを知った。

岩城は早瀬の荷物を自宅に搬入していたが、そこに藤堂が駆けつけた。

岩城と早瀬は藤堂に、婚姻届に署名するように頼んだ。

 

 

メモ

*「都会と潮騒」で急接近したロッキーと早瀬が遂に結婚。

*デート中、お互いに職業病が抜けないロッキーと令子。ロッキーはチンピラが拳銃を隠していると誤解し(実際に入っていたのは競馬新聞)、早瀬は手帳に違法駐車のナンバーをチェックしてしまう。

*ゴリさんを「ゴロウさん」と呼ぶドック。

*ロッキーと早瀬の結婚の仲人は、一係唯一の妻帯者である長さんということに。

*次回予告やOPのハイライトで強調されるロッキーと早瀬の結婚式は、ナーコの妄想。

*三井宅に忍び込んだ強盗犯について、素人の犯行と判断するも、すぐに長さんに常習犯の犯行と言われてしまうドック。

*「気を付けよう、暗い道と婦警さん。これじゃロッキーもグロッキーだな」byドック。

*結婚披露宴の食事にフランス料理のフルコースを希望し、食べるところを妄想するスニーカー。「くいしん坊!万才」への布石?(笑)

*「レストランで彼女とステーキを食べるより、犯人逮捕のほうが素敵なんだって」byドック。

*ロッキーの食べているラーメンが美味しそう。

*今回も、「われら七曲署」から度々登場する茶色のダンプカーが登場。

*深水氏の不気味な笑い。

*ラスト、ロッキーが結婚したことについて、「スピード違反で交通課の婦警に逮捕されてしまえ」と愚痴るドック。

 

 

キャスト、スタッフ(敬称略)

藤堂俊介:石原裕次郎

滝隆一:沖雅也

岩城創:木之元亮

五代潤:山下真司

西條昭:神田正輝

 

 

早瀬令子:長谷直美

松原直子:友直子

宮坂四郎:深水三章

本山弘:堀勉(現:ホリベン)、吉田宏靖、大鹿伸一

会社社長:相原巨典、鹿野新太郎、森篤夫、宮田光

 

 

石塚誠:竜雷太

野崎太郎:下川辰平

山村精一:露口茂

 

 

脚本:柏原寛司

監督:鈴木一平