第410話「捜査だけが人生じゃない」(通算第620回目)

放映日:1980/6/13

 

 

ストーリー

双見功一(相原巨典さん)が自宅のマンションにて、謎の男に拳銃で撃たれ、死亡した。

謎の男は拳銃の前にクッションをかまし、サイレンサー代わりにした。

七曲署捜査一係が現場に急行した。

双見はキャバレーチェーン「矢追興業」社長で、竜神会と手を切る、切らないで噂になっていた。

現場の第一発見者は社員で、1時間前に双見宅に書類を届けに行った際、遺体を発見していた。

犯人は竜神会関係者か、竜神会が差し向けた殺し屋ではないかとみられた。

目撃者は発見されず、竜神会の動きも捉えどころがなかった。

野崎は竜神会が警察の捜査を予期しているのではないかと考えていた。

4年前(1976年頃)、城西署管内でも手口が酷似した事件が発生していた。

その事件では、竜神会から離れようとした、白竜商事の社長が殺害されており、容疑者を追い詰めた城西署の刑事が銃撃され、重傷を負っていた。

その事件の犯人は国外に逃亡していた。

藤堂は一係室に、城西署刑事の谷岡志郎(浜田光夫さん)を招き入れ、捜査員に紹介した。

谷岡は4年前の殺人事件との関連から、双見の事件への捜査協力を申し出ていた。

谷岡は4年前の殺人事件と双見の殺害事件の容疑者を、秋山清(35歳)(金井進二さん)と断定していた。

秋山は元々、一匹狼の流れ者で、ちょうど4年前には竜神会に出入りしていた。

城西署管内の白竜商事社長が殺害された時、谷岡は最初から拳銃の前科のある秋山をマークし、徹底的に足取りを追跡していた。

秋山は谷岡の行動に感付き、夜の道で自動車に乗りながら拳銃を発砲し、谷岡の右足を負傷させ、さらに谷岡を乗用車で轢いていた。

谷岡は秋山が犯人でなければ自分を襲撃する理由がないとして、秋山を犯人であると主張していた。

谷岡が秋山を犯人と断定する根拠はクッションだった。

秋山は4年前の殺人事件の際には、拳銃に毛布を巻き付けて発砲していた。

双見殺害に使用された拳銃の銃弾の条痕と、4年前の事件の銃弾の条痕は一致しなかった。

五代は谷岡について、自信過剰であるという感想を抱いていた。

藤堂は石塚と島と滝に竜神会の、野崎と山村と岩城には矢追興業関係の捜査を命令し、五代には谷岡と組むように指示した。

谷岡は五代に、今は走ることができないこと、被弾した傷が犯人に接近すると痛むことを語り、自分の勘が間違っているかどうかは、久保勇という男の反応を見れば明らかになると伝えた。

久保は秋山に憧れているチンピラだった。

谷岡と五代は久保(下塚誠さん)と対面した。

久保は谷岡から秋山の居場所を質問され、秋山が自分を放り出して逃走したために知らない、戻って来たら黙ってないと答えた。

秋山は凄腕な上に、自分に刃向かう者を絶対に許さない性格だった。

谷岡は秋山のことを全て知っている久保が秋山に逆らうわけがなく、嘘をついていると思っていた。

久保は谷岡に、負傷した足の仇を取るため、何があっても秋山に見えるのではないかと挑発した。

谷岡は久保に、秋山に関する情報があったら教えるように求めた。

谷岡は久保が秋山に接触していると確信し、久保が勤務するスナック「マロニエ」や「麻雀東風」を徹底的に張り込んだ。

翌朝、久保はアパートに帰宅した。

谷岡は張り込み中、五代に、食事に出るように促した。

谷岡はタバコを吸おうとしたが、その直後、頭痛が走った。

谷岡は4年前の事件で重傷を負った後、刑事課長の配慮もあり、空き巣などの軽い仕事にしか就けなくなっていたが、秋山が日本に戻って来たら、捜査に参加することを強く熱望していた。

刑事課長は本来であれば、七曲署との合同捜査に持ち込むことを希望していた。

日曜日、久保は家にいた。

五代はピザを買おうとして覆面車から出ようとしたが、谷岡に、敵討ちが目的の刑事に協力をしたくないという心胸を見破られてしまった。

五代は捜査に執念を燃やす谷岡に対し、秋山を犯人と断定したのも、勘というよりもただそう思いたいだけなのではないかと思っていた。

島と岩城が谷岡と五代のもとに駆けつけ、久保の張り込みを交代した。

谷岡は自宅に五代を招き入れ、酒を振る舞った。

五代は谷岡に対し、捜査に私情が禁物であり、谷岡の捜査が秋山に対する個人的な復讐であれば、それは間違いであると意見した。

谷岡は子供のころ、友達にいじめられてばかりであり、警察学校に入学したのは強くなりたかったからだった。

谷岡宅には、昭和50年(1975年)3月2日に谷岡が強盗傷害犯を逮捕したことについての賞詞が飾られていた。

谷岡は秋山を憎んでいることを認めたが、秋山だけではなく、暴力で人を傷つけ、ねじ伏せる者を全て憎んでおり、自分の手で逮捕することに執着していた。

谷岡が事件の捜査に無理やり介入したのは、自分が秋山のことを一番よく知っている、秋山を間違いなく追い詰められるのは自分であると思っていたからであった。

谷岡は五代に対し、刑事の中から怒りを取ったら何が残るのかと尋ねた。

五代は谷岡を誤解していたことを認め、謝罪した。

谷岡は五代と一緒にバーボンを飲もうとしたが、またもや頭痛が走った。

五代は藤堂に、谷岡が単なる私情で秋山を追跡しているのではなく、ただ秋山を逮捕したいだけであるという判断を報告した。

石塚は五代に、刑事としての怒りと私情が紙一重であると諭した。

藤堂は谷岡の件を五代に任せた。

滝が一係室に帰り、竜神会の元子分で、時々自分に情報を流す者から、1丁目付近で秋山を目撃したという情報を入手し、藤堂に報告した。

1丁目は久保の遊び場だった。

五代は城西署捜査一係に急行し、谷岡に秋山が帰って来ていることを告げた。

久保は竜神会を訪れ、事務所を出た後、赤い乗用車に乗り、アパートに帰宅した。

久保は竜神会から乗用車を借りただけだった。

谷岡は新しいバーボンを購入しており、五代に逮捕後に一緒に飲むことを誓った。

谷岡はサングラスをつけ、乗用車で出発した。

久保は若い女と待ち合わせていた。

その若い女は秋山とは無関係だった。

久保は進行方向を変えた。

谷岡は久保の進行方向が浜浦通りであることを知っており、先回りして待つ作戦をとった。

久保は秋山との待ち合わせ地点に到着し、乗用車に秋山を乗せた。

谷岡は秋山と久保がスズシゲ港に向かっていると推理した。

久保は竜神会から秋山の報酬金を貰っており、秋山に手渡した。

秋山は外国逃亡を目論んでいたが、谷岡と五代に尾行されていることに気付いてしまった。

秋山は助手席から身を乗り出し、覆面車に発砲してきた。

五代も助手席の窓から身を乗り出し、秋山の乗用車のタイヤを迎撃しようとしたが、谷岡が頭痛で苦しみ出した。

覆面車は対向車線を走行中のトラックを回避しようとして、空き地に乗り出して呈した。

谷岡は秋山と久保を見逃してしまったため、緊急手配した。

谷岡と五代は一係室に戻り、藤堂に秋山を取り逃してしまったことを謝罪した。

七曲署はスズシゲ港の漁船で、逃がし屋グループとみられる船を取り押さえており、秋山の国外逃亡を阻止した。

藤堂は谷岡と五代に、帰宅して休むように促した。

五代は帰宅しない谷岡に、無理が禁物で、秋山もすぐには別の逃亡手段を使わないと説得した。

藤堂は捜査員に、秋山と久保の追跡を指示した。

五代は医師から、谷岡の頭痛のことを聞き出していた。

谷岡は五代に、自分の頭痛が乗用車に轢かれた時の後遺症であること、自分と医師以外には頭痛のことを知っている者がいなかったことを説明した。

谷岡の頭痛が始まったのは約半年前で、一瞬に頭に何かを差し込まれたような痛みが走っていた。

谷岡は五代に、頭痛を黙っていたことを謝罪しつつ、頭痛が一瞬のものであるため、失敗を絶対にしないと約束した。

五代は谷岡に、このまま捜査を続けたら、体が保たなくなるため、休むように促したが、谷岡から、秋山の逮捕まで頭痛のことを誰にも言わないように、捜査を外さないように懇願した。

五代は谷岡の懇願を承諾した。

五代は帰宅した。

五代は秋山を追跡した際、谷岡に頭痛が起こったことを思い出し、自分が五体満足で若さもあるが、谷岡には秋山への怒りと執念以外に何もないことを痛感していた。

五代は今のまま秋山を追跡したら、追跡中に頭痛が起き、秋山に射殺されてしまうかもしれないことを危惧した。

五代は藤堂宅に電話し、藤堂に谷岡の頭痛のことを打ち明けた。

五代は捜査から七曲署に帰った時、谷岡に殴られてしまった。

谷岡は藤堂に健康上の理由を名目に捜査から外されてしまったことに激怒していた。

谷岡は五代に裏切った理由を尋ねると、捜査だけが人生じゃないと答えられた。

谷岡は憤慨し、五代を叩きのめし、五代になぜ裏切ったのかと詰め寄った。

石塚が五代のもとに駆けつけ、谷岡との約束を破ったと反省する五代に、藤堂の、谷岡について責任を持つという約束を守ったと激励した。

谷岡は独自に捜査を開始し、竜神会組員を詰問し、秋山の居場所を掴もうとしていた。

野崎が谷岡の詰問を目撃し、制止した。

谷岡は城西署に戻っていたが、4年前の事件の捜査という名目で行動しており、野崎に他署の捜査に口を出す権利はないと言い放った。

五代は藤堂に、谷岡の捜査の中止を要請した。

しかし、城西署の刑事課長は頭痛を理由に捜査から外すのを認めずに憤慨し、他の刑事にも出動させていた。

現段階では、谷岡の捜査を止めさせることはできなかった。

藤堂は五代に、徹底的な谷岡の警護を命令した。

谷岡は白竜商事に突入し、構成員を殴り倒し、詰問していたが、何も情報を得られなかったため、立ち去った。

谷岡は雀荘でも男を殴り倒し、詰問していたが、男から証拠があるのかと尋ねられた。

谷岡は男の所持品を探り、短刀を見つけ出したことで、事なきを得た。

秋山と久保は作業着を着て、「マロニエ」の前で待機していた。

秋山は谷岡を殺害する気だったが、久保に早く東京から出るように意見された。

秋山は「マロニエ」を訪れる谷岡を発見し、谷岡が久保のアパートに行くと考え、谷岡を尾行した。

谷岡は秋山に拳銃で射殺されそうになったが、五代に呼び掛けられたため、何とか発砲を回避した。

五代の覆面車は段ボールの山に激突し、動かなくなってしまった。

秋山と久保は北町2丁目方面に逃走した。

五代は疾走して秋山と久保を追跡した。

秋山と久保の乗用車は逃走中、資材置き場で横転した。

五代は秋山の拳銃とナイフを蹴り落し、秋山を殴り倒した。

谷岡が石塚と島と岩城と共に資材置き場に駆けつけ、五代に、秋山に手錠をかけるように促した。

岩城は久保を逮捕した。

谷岡は五代を殴った時、どんな小さな傷でも隠していたのは私情が優先していたからであることを理解した。

谷岡は五代の警護にも気付いており、刑事以外の人生も精一杯生きてみることを決意した。

五代は秋山を逮捕した。

秋山は五代に殴られ、全治10日の傷を負っていた。

 

 

メモ

*自分のあだ名について、「走るしか能がないから」と思っているスニーカー。

*下塚氏は珍しいチンピラ役。

*久々に「アクション」のオリジナルが使われた。

*早苗の声は山下幹子氏の声なのかは不明。

*「スコッチ誘拐」に続き、ボスの自宅が登場。

*谷岡に、ボスに頭痛のことを言わないようにと約束されたが、谷岡の殉職を恐れ、ボスに正直に報告するスニーカー。これはスニーカーのほうが正しい。

*ゴリさんと一緒に竜神会の組員を叩きのめすスコッチ。大暴れぶりがすごい。

*スニーカーの走りが美しく華麗。

*ラスト、ボスに秋山の全治10日間の傷の始末書を書くことをいじられるスニーカー。スニーカーの始末書の数も相当ある?

 

 

キャスト、スタッフ(敬称略)

藤堂俊介:石原裕次郎

滝隆一:沖雅也

岩城創:木之元亮

五代潤:山下真司

 

 

松原直子:友直子

谷岡志郎:浜田光夫

久保勇:下塚誠、秋山清:金井進二

双見功一:相原巨典、藤原益二、鹿島研、古川隆

ノンクレジット 竜神会組員:星野晃

 

 

石塚誠:竜雷太

島公之:小野寺昭

野崎太郎:下川辰平

山村精一:露口茂

 

 

脚本:小川英、尾西兼一

監督:竹林進