第367話「跳べ! スニーカー」(通算第577回目)

放映日:1979/8/3

 

 

ストーリー

午前9時、五代はぎりぎりで一係室に出勤した。

石塚は五代をパチンコ屋に連れて行き、情報屋の磯部源治(今福正雄さん)と接触した。

磯部は石塚に、東南アジア産の密輸拳銃が近日中に大量に出回るという情報を伝えたが、どこで情報を仕入れだかを言おうとしなかった。

磯部は石塚から執拗にどこで情報を仕入れたかを質問され、仕込んだのが戸川組らしいということを話した。

石塚は密かに煙草の箱に隠した1000円札を渡し、パチンコ屋を立ち去った。

磯部は新人の五代に興味を持っていた。

石塚は磯部の情報が確実かどうかに疑惑を抱いていたが、戸川組関係を捜査することにした。

五代は石塚と一緒に捜査中、磯部に声を掛けられたが、石塚に磯部とは会話しないように命令された。

石塚と五代はラーメン屋で食事をしていたが、ラーメン屋に磯部が入ってきた。

石塚は磯部を相手にせず、店を立ち去った。

五代は岩城に磯部のことを尋ねた。

磯部は置き引きやかっぱらいの前科5犯で、酒好きのだらしない性格の老人であり、酒が飲みたい一心で石塚を2,3回騙していた。

岩城と五代は藤堂からの、東洋銀行矢追支店の直通非常ベルが鳴ったという無線連絡を聞き、急行した。

強盗犯の石山(三浦伸さん)は銀行から大金を強奪し、拳銃を発砲しながら逃走した。

石山の発砲により、通行人の女性が負傷した。

岩城と五代が現場に到着し、岩城は通行人の救護をして、五代は単独で発砲を回避しながら石山を追跡した。

五代は歩道橋の下で石山を逮捕した。

石山が所持していた拳銃は東南アジア製の密輸拳銃であり、磯部の情報が真実だったことが証明された。

石山は面識のない男と電話で取引し、拳銃を購入していたが、石山が拳銃を購入したいと漏らしていたのは戸川組だった。

石山の発砲で負傷した女性は一命を取り留めた。

藤堂は捜査員に戸川組の徹底的なマークを命令した。

五代は捜査中、パチンコ屋に入っていく磯部を目撃し、会話した。

五代は磯部に、情報が真実だったことを告げ、おでん屋の屋台で一緒に酒を飲んだ。

磯部には一人娘がいたが、結婚して幸せになっていた。

磯部は一人暮らしだったが、娘が頻繁に自分のもとに来るので寂しくなかった。

五代が磯部に接触した理由は、単に磯部と一緒に酒を飲みたいという一心だった。

五代は磯部と仲良くなっていた。

五代は出勤時、石塚に磯部と一緒に酒を飲んだことを伝えたが、石塚に二度と磯部に近付かないように警告された。

磯部は戸川組組員が出入りするクラブに従業員として潜入していた。

戸川組幹部の菊池(江角英明さん)と、中幹部の角田(椎谷建治さん)が配下の組員(中瀬博文さん他)を引き連れ、クラブに入った。

菊池は拳銃の取引の手筈を整えていた。

磯部は菊池達を尾行し、菊地が発言した、拳銃の取引の日時が今夜の午後8時であることと、取引の場所を盗み聞きした。

五代は藤堂から、匿名の男が五代を名指しし、至急自分宛に電話してほしいと伝言していたことを連絡された。

五代は電話ボックスから、磯部がいる立ち食い蕎麦屋の公衆電話に電話をかけた。

磯部は新人の五代に手柄を立てさせるために、昨夜に酒を飲ませてもらった礼という名目で五代に情報を放していた。

情報の内容は、今夜午後8時にディスコ「ニューヨーク・ニューヨーク」で菊池が拳銃の取引をするというものだった。

藤堂は磯部の情報にしては詳し過ぎることを不審に思った。

山村と島は一係室に帰り、菊地が東南アジアに行った形跡がないが、船員風の男と何度か接触していることを報告した。

拳銃を運び込んだのは船員だった。

捜査員は「ニューヨーク・ニューヨーク」を張り込むことにした。

石塚は磯部が五代に偽情報を掴ませないと思い、磯部の情報が真実であると信じていた。

菊池と角田が組員3名(柿木恵至さん他)を引き連れ、荷物を持たないまま、ディスコに入っていった。

五代は菊池達に顔が知られていないことを利用し、岩城の制止を無視して菊池達に接近し、様子を確認した。

菊池は捜査員の存在に気付き、逃走を図った。

菊池と角田は組員3名が野崎と石塚と岩城と格闘している隙に逃走しようとしたが、五代に追跡された。

菊池は五代に身柄を取り押さえられたが、拳銃を所持していないことを理由に惚けた。

角田は五代の背後に忍び寄り、後頭部を拳銃の台尻で殴り、気絶させた。

逮捕された3人の組員は、いずれも拳銃取引については知らないと言い張っていた。

拳銃の取引相手は、横須賀を基盤とする暴力団「紅会」の幹部3名で、拳銃取引の可能性が濃厚だった。

五代は自分を殴った拳銃が東南アジア製の密輸拳銃であると証言し、見本用に1丁だけ持っていたことを確信した。

しかし、それは証拠にはならなかった。

菊池と角田は傷害罪で手配されることを覚悟の上の犯行に及んでおり、当分姿を現さないと推測された。

石塚は、菊池達が密告者の磯部の口封じに取り掛かるのではないかと意見した。

藤堂は捜査員に、磯部の保護を命令した。

磯部は夜道を歩いている途中、角田の尾行に気付き、逃亡しようとしたが、通りすがりざまに通行してきた乗用車の乗員から銃撃された。

五代は藤堂から、磯部が銃撃されたという連絡を受け、病院に急行した。

磯部は五代が病室に到着した頃には、既に帰らぬ人となってしまった。

磯部に付き添っていた、磯部の娘(新海百合子さん)は五代に対し、唯一の肉親の磯部を、警察が前科を利用して散々に危険な橋を渡らせたことを糾弾した。

磯部の娘は磯部を殺害したのが警察であると思い込んでいた。

五代は磯部の娘に、磯部を殺害した真犯人を逮捕すると決意した。

五代は逃走する戸川組組員を路地裏に追い詰め、殴り倒したが、駆けつけた石塚と岩城に制止された。

岩城は五代に、冷静になるように諭した。

戸川組組員は菊池の居場所を知らなかったが、角田の潜伏先が、アパート「楓荘」の2階の隅にある、情婦の部屋であることを知っていた。

石塚と岩城と五代は楓荘に急行した。

石塚は五代に、自分と一緒に行動するように指示し、部屋の中に情婦だけでなく子分の組員が数名いるかもしれないと考え、銃撃戦を避けるために、岩城には角田を表から追い出すように指示した。

石塚は五代に、角田が階段を降りてくるため、奥の空き地に追い込むまで手を出さないように命令した。

岩城が角田の愛人の部屋に突入しようとしたところ、角田の子分が扉越しに銃撃してきた。

角田は階段から逃走した。

五代は石塚の命令を無視し、角田を追跡した。

石塚は子分の組員の拳銃を撃ち落としたが、角田の銃撃で右腕に被弾した。

角田はアパートの階段から、一般家屋の屋根を伝って逃走し、乗用車に乗った。

五代は角田を見失ってしまった。

岩城は五代に、銃弾がもう少しずれていたら石塚が死亡していたことを告げ、激しく叱責した。

五代は角田の愛人宅には角田しかいないと思い、行動していた。

五代は磯部を捜査の道具のように冷たく扱う石塚に激しく反発し、岩城に弁明した。

五代は磯部を突き放すのが立派な刑事なら、刑事を辞めると発言したため、岩城に殴られた。

山村は石塚の病室に五代を入室させた。

石塚は、孤独で話し相手を欲しがっていた磯部と、本心ではゆっくり酒を飲みたかったが、磯部の話し相手になると、磯部が必要以上の情報を入手しようと危険を冒すことが分かっていたためにできなかったことを告白した。

石塚は、磯部の唯一の楽しみが良い情報を仕入れて捜査員に伝えることだったため、絶対に必要最小限の付き合いしかしないと心に誓っていた。

石塚は五代に、今も五代が磯部と一緒に酒を飲んだことに怒っていないことを話し、五代が磯部と仲良くしたかった心情を理解していたが、それだけでは刑事としては足りないことを説いた。

五代は空き地で寝ころび、自分が屑であると叫んだ。

石塚は藤堂に、五代がいい刑事であることを信じ、五代の気持ちを失わせたくないため、五代がもし辞表を持ってきても受理しないように願い出た。

藤堂は五代がここで崩れるなら、自分の見込み違いであるため、それを誰も責められないと返した。

磯部の娘は自宅の外で五代を見て、怒って家の中に入っていったが、五代のスニーカーを見て、五代を自宅に招き入れた。

五代は磯部の娘に磯部を死なせてしまったことに謝罪した。

磯部の娘は、磯部が死亡する寸前まで五代の通称である「スニーカー」と呼んでいたこと、磯部にとっては五代の役に立つことが一番嬉しいことだったことを打ち明けた。

磯部の娘は五代に冷淡な態度をとってしまったことを詫びた。

磯部の最後の一言は、「スニーカー、レインに行け」というものだった。

五代は藤堂に、菊池の潜伏場所であるバー「レイン」に直行することを電話連絡し、電話を切った。

五代は「レイン」の扉を破壊して突入し、組員を蹴散らした。

菊池と角田は組員の運転する乗用車で逃走した。

角田は拳銃を持って密航船で逃走することを発案した。

五代は道路を走行中のトラックの荷台に飛び乗り、運転手に菊池の乗用車の追跡を要請した。

五代はトラックの荷台から、菊池と角田の乗用車の屋根にしがみ付いた。

乗用車は五代を振り落とそうとしたが、前方を走行するミキサー車を回避しようとして、木箱に激突し、停止した。

五代は橋の上に飛び乗り、無傷で済んだ。

乗用車のトランクの中から、大量の密輸拳銃が露になった。

五代は1人の組員を蹴散らし、2人の組員を海に叩き落した。

五代は角田の拳銃を蹴り落とし、海に叩き落したが、菊池に拳銃を向けられた。

五代は菊地の発砲に怯まずに突撃し、徹底的に叩きのめした。

野崎と岩城と島が到着し、海に転落した組員を救出した。

五代は菊池を逮捕した。

五代は磯部の死亡した高架橋下に花束を差し入れ、バーボンを注いだ。

石塚が現れ、五代を励ました。

五代は刑事を続けることを決意していた。

 

 

メモ

*出勤時、表門を通らず、壁の塀を飛び越えて、ぎりぎりで一係室に入るスニーカー。

*BGMの名前は「”飛”べ!スニーカー」。今回のサブタイトルは「”跳”べ!スニーカー」。

*アメリカを放浪した時、磯部のような老人と頻繁に会ったと語るスニーカー。

*今回はロッキーに殴られるスニーカー。

*ゴリさん流「情報屋の付き合い方」。

*江角氏と椎谷氏の安定のコンビネーション。

*スニーカーの無茶な頼みを聞き入れるトラック運転手。

*殿下に「全然激情しない、いつも冷静な性格」であると言われるロッキー。結構頑固な性格で、激情するときは激情して暴走している気がするが…

 

 

キャスト、スタッフ(敬称略)

藤堂俊介:石原裕次郎

岩城創:木之元亮

五代潤:山下真司

野崎太郎:下川辰平

 

 

松原直子:友直子

磯部源治:今福正雄(現:今福将雄)

菊池:江角英明、磯部の娘:新海百合子、角田:椎谷建治

石山:三浦伸、戸川組組員:中瀬博文、石崎洋光、古川隆

戸川組組員:星野晃、鹿島研、北斗太郎、戸川組組員:柿木恵至

 

 

石塚誠:竜雷太

島公之:小野寺昭

山村精一:露口茂

 

 

脚本:小川英、尾西兼一

監督:櫻井一孝